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「成功でない幸せを追い求める」若いシェフが生きる方法

「成功でない幸せを追い求める」若いシェフが生きる方法

Posted May. 26, 2018 09:01,   

Updated May. 26, 2018 09:01

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この本を、若いシェフの物語といえば、多くのことを逃すことになる。主人公「モロ」は、華やかなレストランで働いた後、出てきて、非常に小さなレストランを開き、4年後、これをやめて、フランスとバンコクを行き来しながら、時には働き、時には人生を探求する。経済学修士でもある非常にユニークに見えるが、シェフ「モロ」は時代を反映する。

20代前半、モロは修行のためにミシュランのスターレストランで無給で働いた。しかし、上辺だけが派手なこのキッチンには、旧態が横たわっていた。食材を間違って準備したという理由で、料理道具で殴られて鼻血を流したモロは、その場でレストランを去る。そして、既存のシステムが提供できない、毎日異なるメニューを独自の方法で披露するレストランを開く。独特のグルメで成功軌道に乗ったモロは、4年後バンコクへと旅立つ。

このようなモロの旅は、ミレニアル世代を描いている。モロは、システムのために働かない。それを適当に利用して自分の道を開拓する。彼はいつも「シェフ」ではなく、「個人のモロ」だ。遠くから見ると破格の連続だが、結局、そのすべての中心には自分がいる。私の幸せが最も重要であり、そのために最善をつくす生活を見ているだけで、楽しさと勇気が出る。

このような社会学的洞察を、長ったらしい説明なしに個人の描写だけで解いたことに驚かされる。著者は、パリで歴史、哲学、民族学を勉強した。2014年に出版した小説「生きている者を修理する」は、きめ細かな叙述だという好評を受けた。

この本は、フランスのスイユ出版社が、歴史・社会学者ピエール・ローザンと企画した叢書「人生を語る」の一部だ。フランス社会の巨大な談論に隠された個人を物語るためのシリーズだという。叢書に含まれているほかの物語も気になる。


金民 kimmin@donga.com