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ドゥテルテ大統領、ミンダナオ島に戒厳令

ドゥテルテ大統領、ミンダナオ島に戒厳令

Posted May. 25, 2017 08:39,   

Updated May. 25, 2017 08:40

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麻薬犯罪の容疑者を裁判なく射殺できるようにし、国際的に人権侵害が問題となっているフィリピンのドゥテルテ大統領が、南部ミンダナオ島に戒厳令を宣言した。同地域で活動するイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を示す反政府組織「マウテグループ」の大規模なテロ行為を阻止するための措置だ。しかし、ドゥテルテ氏が今回の事態を自分の「恐怖政治」を強化する契機に活用し得るという懸念も強まっている。

23日、AP通信やCNNなどによると、ドゥテルテ氏はロシア訪問中に、マウテとフィリピン政府軍との間で交戦が起こり、マウテがマラウィ市の市庁や刑務所、主要道路を掌握したという報告を受け、直ちに戒厳令(60日間有効)を宣言した。ドゥテルテ氏は、ロシアのプーチン大統領との首脳会談を終えた後、残りの予定を切り上げてすぐに帰国の途に着いた。ドゥテルテ氏は、「(戒厳令の期間が)1ヵ月で終わればいいが、1年かかる可能性もある」と述べ、事態が長期化する可能性があることを示唆した。

 

今回の事態は、フィリピン政府軍と警察が、別のイスラム過激派組織「アブサヤフ」のハピロン幹部への逮捕令状を執行する過程で起こった。マウテは、マラウィ市の学校や聖堂などに火をつけ、電力関連施設を破壊し、都市全体が「ブラックアウト」になったという。また、マラウィ市の主要施設に掲揚されているフィリピン国旗を下ろし、ISの象徴旗と似た形の旗を掲揚した。掌握した主要建物には狙撃手も配置している。まだ正確な民間人の被害は伝えられていないが、反政府組織との交戦で政府軍3人が死亡、12名が負傷した。

 

イスラム教人口が多いフィリピン南部で長い間活動してきたマウテは、ISに忠誠を誓い、爆弾テロや拉致などを犯してきた。今回のマラウィ市への攻撃の準備でISがどれだけ関与したのかも関心事だ。ISは最近、中東地域で相対的に影響力が低迷してからは、「非中東地域」を中心に勢力拡大に力を入れて来た。ISの宣伝メディア「アマク通信」は、「ISの戦士がマラウィ市のフィリピン政府軍を相手に大規模な攻撃に出た」と明らかにし、今回の事態を注視していることを示唆した。

 

野党を中心にした反ドゥテルテ陣営からは、都市1ヵ所が攻撃を受けただけで島全体に戒厳令を宣言したことは過度な措置という批判が出ている。しかし、フィリピン議会を親ドゥテルテ陣営が掌握しており、戒厳令は当分維持され、延長の可能性もある。この過程で無分別な射殺や逮捕が行われ、人権侵害がさらにひどくなるという見方も多い。



李世亨 turtle@donga.com