Go to contents

米・メキシコ国境にコンクリートの壁をつくれば環境破壊は?

米・メキシコ国境にコンクリートの壁をつくれば環境破壊は?

Posted February. 17, 2017 08:52,   

Updated February. 17, 2017 08:55

한국어
高い壁は敵から身を守る象徴だ。15日に上映した映画『グレートウォール』は、主人公が中国の万里の長城を背景に怪物と戦うシーンがある。

大きな石を一つずつ運んで万里の長城を築いた時代に比べて、現代は壁をつくることが大変容易になった。手に入れやすく安価で耐久性も良いコンクリートの壁をつくればいい。東西冷戦時代に東ドイツと西ドイツを分けたベルリンの壁やイスラエル・パレスチナの壁もコンクリートだ。米国のトランプ大統領は最近、米国とメキシコの間に巨大なコンクリートの壁を設置すると主張して外交摩擦を招いた。

技術の発達で壁の築造が便利になったため、環境破壊も大きくなった。コンクリートの主成分であるセメントを作る際、温室効果ガスである二酸化炭素が出るためだ。米国の科学技術誌「MITテクノロジーレビュー」は、トランプ大統領の計画どおり国の境壁を作れば、二酸化炭素が780万トン出ると計算した。500MW級石炭火力発電所2.5基を1年間稼働する時に出る量に匹敵する。

やむを得ず壁を作らなければならないなら、環境にやさしい建築方法はないだろうか。カナダ・モントリオールのクリーンテクノロジー会社カービクリートは、二酸化炭素を排出しないコンクリートを開発した。セメントの代わりに産業廃棄物である鋼鉄スラグを主成分に使用し、濡れたコンクリートに二酸化炭素を注入して強度を上げた。カービクリート最高経営責任者のクリス・スターン氏は、米国とメキシコの壁の規模で工事をした場合、むしろ大気中の二酸化炭素120万トンを吸収すると主張した。

生物材料でつくった壁も研究中だ。米国の環境ベンチャー企業エコベイティブ・デザインは、作物の廃棄物で建築材料をつくる。とうもろこしから食べる部分を取った残りを細かくすり下ろし、きのこの菌糸を入れて10~14日培養すれば、プラスチックほどの丈夫な建築材料ができる。きのこの菌糸体は細くて長い鎖の形をしていて結合力を高く、壁にひびが入っても自ら修復する能力がある。家を建てる際、壁面に使用できるほどだ。

しかし、このように壁を環境にやさしくつくるといっても、環境に及ぼす悪影響をすべて防ぐことは難しい。米生物多様性センターは、国境の壁が絶滅危惧種であるジャガーをはじめライオンや鹿など動物の移動を妨げることが心配される。季節の変化に伴う移動を妨げ、交尾を妨害して結果的に絶滅を早めることが懸念される。



변지민 동아사이언스기자 ピョン・ジミン東亜サイエンス記者 here@donga.com