ドイツは、ナチス時代に悪名を馳せた「アウシュヴィッツ強制収容所」運営関係者への裁判記録のユネスコ世界記憶遺産登録を推進することにした。戦争犯罪の被害者ではなく、加害者が自ら進んで暗い過去の記録を保存すると乗り出したわけだ。過去の過ちを忘れたくないというドイツの姿勢は、旧日本軍による慰安婦強制動員など、過去の歴史そのものを否定する日本とは一線を画している。
AP通信によると、ドイツ・ヘッセン州政府は9日(現地時間)、アウシュヴィッツ強制収容所の運営に関わった22人の戦犯に対する裁判記録を、ユネスコ世界記憶遺産に登録させるための計画を推進すると明らかにした。ヘッセン州政府は、1963年から1965年までフランクフルトで行われたアウシュヴィッツ裁判関連文書454件・録音音声103件を、ユネスコにすでに提出した。登録の有無は来年決定され、現在登録の可能性は高いとされている。
収容所運営に関わったナチス親衛隊(SS)隊員などが起訴されたフランクフルト裁判は、第二次世界大戦直後のニュルンベルク裁判に次ぐ、大規模な戦犯裁判だった。
ヘッセン州の学術長官は「申請が通れば、ドイツがナチスの犯罪とホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)への責任を負い続けていることを、全世界に発信するシグナルになるだろう」と述べた。
ユネスコ世界記憶遺産は、全人類の所有物である記憶遺産が消えることなく、未来世代にそのまま受け継がれるように保存するための制度だ。第二次世界大戦当時のホロコーストに関する記録の中では、ユダヤ人の少女、アンネ・フランクがナチスの迫害から逃れ、隠れて生活しながら日常を記録した「アンネの日記」が、2009年ユネスコ世界記憶遺産に登録された。
これに対し、日本は旧日本軍慰安婦に関する資料の世界記憶遺産登録に強く反発するなど、警戒感をあらわにしている。中国は昨年10月、南京大虐殺関連資料を世界記憶遺産に登録させた。最近は、韓国や中国など複数の国の市民団体が共同で、旧日本軍慰安婦に関する資料を記憶遺産に申請した。
파리=전승훈특파원 パリ=チョン・スンフン特派員 raphy@donga.com