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アジアは偽ニュースと戦っている

Posted April. 03, 2019 08:39,   

Updated April. 03, 2019 08:39

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「懲役10年、罰金8億4000万ウォン」

今後、シンガポールで偽ニュースを流せば、このような処罰を受けることもある。シンガポール日刊紙ストレート・タイムズなどは1日(現地時間)、政府が議会に「反偽ニュース法案」を提出したと伝えた。偽ニュースが公共利益を害した時は、流布当事者だけでなく、これを掲載したポータルサイトなども制裁することが柱となっている。ポータルから偽ニュースと公共利益を害するコメントを削除することはもとより、広告執行も禁止できるので、「現存する最も強力な偽ニュース制裁法」という分析が出ている

シンガポールのほか、インド、マレーシア、カンボジアなどのアジア各国でも、偽ニュースとの全面戦を宣言した。経済発展で携帯電話の普及率が高まっているうえ、ソーシャルメディアでニュースに接する国民が多いからだと、香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは診断した。特に、人種、宗教対立の激しい国ほど、偽ニュースを対立に利用する勢力が多く、悪循環を生んでいると付け加えた。

仏教徒とイスラム教徒の対立が深刻なスリランカでは昨年、「イスラム教徒が仏教徒を毒殺しようとしている」という偽ニュースが広がった。憤った一部の仏教徒は、モスクに火をつけた。また、インドでは、「外部の人が少数民族の子供を誘拐して、臓器売買を行っている」という偽ニュースが広がって、他の地方を旅していた罪のないインドの若者2人が集団暴行で死亡する事件まで起きた。

アジア各国の偽ニュースとの戦いは、選挙とも深いかかわりを持っている。今年はインドネシア(4月の大統領選挙)、インド(4〜5月の総選挙)のほか、シンガポール、タイなども選挙がある。11日から6週間、有権者9億人が議員を選出するインドでは、安全保障関連の偽ニュースが蔓延している。最近浮上したインドとパキスタンとの軍事的緊張により、これに関する偽ニュースが横行すると、これが総選挙の最大変数だという言葉まで出るほどだ。インド政府は、偽ニュースが広がって暴動が起きる地域のインターネットへのアクセスを一時的に閉鎖するなどの措置を取っているが、なかなか下火にならない。

偽ニュースへの規制を巡る議論も存在する。「様々な暴力事態を引き起こすので、制裁は避けられない」という意見と、「反政府世論を簡単に弾圧するためのツール」という指摘が鋭く対立している。インドでも、「ヒンドゥー優先主義」を打ち出したナレンドラ・モディ現総理側が、偽ニュースを政権延長に利用しているという指摘が絶えない。同じく3代世襲が議論となっているシンガポールでも、李顯龍現総理側が次期総選挙でこれを利用しようとしているという野党の批判が持ち上がっている。


崔智善 aurinko@donga.com