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カンヌ映画祭大賞「万引き家族」、日本で政争に巻き込まれた理由とは…

カンヌ映画祭大賞「万引き家族」、日本で政争に巻き込まれた理由とは…

Posted June. 11, 2018 07:59,   

Updated June. 11, 2018 07:59

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先月の第71回カンヌ国際映画祭で最高賞の「パルムドール」を受賞した日本映画「万引き家族」が8日、日本で上映された。韓国でも名前が知られている是枝裕和監督(56)の作品で、上映直前の2日間の有料試写会は15万2872人の観客を動員した。メディアは、「是枝監督の作品の中で大ヒットを記録するだろう」と見通した。しかし、上映当日、是枝氏は自身のインターネットのホームページに「対立はやめたい」と心境を明らかにした。何が起こったのか。

●政争に巻き込まれたカンヌ受賞作

 

東京の郊外が背景のこの映画は、社会から排除された人々が集まって盗みをしながら生計を立てるという内容だ。実話を脚色したこの映画は、ますます格差が広がる社会と家族の崩壊、貧困層など現在の日本社会の問題が含まれているという評価を受けている。

安倍晋三首相の沈黙が論争の発端となった。フランスのフィガロ紙は最近、「是枝氏が最高権威の世界の映画賞を受賞したが、安倍氏は祝電を送っていない」とし、「監督が映画で日本の政治を告発してきたため」と報じた。2日、東京新聞も専門家を引用して、「首相が度量を持たなければならない」と指摘した。さらに是枝氏が最近、安倍政権の「歴史修正主義」の態度を批判したということが伝わり、意図的な沈黙という見方もある。

すると野党が安倍氏を批判し出した。7日、参議院文部科学委員会で神本米恵子議員(立憲民主党)がこの問題を取り上げて追及すると、林芳正文部科学相は、「近く祝いのメッセージを伝えるよう安倍首相に伝えたい」と話した。すると是枝氏は8日、自身のホームページを通じて「左であれ右であれ公権力とは距離を維持することが正しい行動だ。(映画による)左右の対立はやめたい」とし、政府の祝いメッセージを断る意向を明らかにした。

●右翼「沈黙することが国家の品格」

 

これに先立ち是枝氏は6日、記者会見で、「最近、日本映画が政治社会問題を扱わないと海外で指摘を受けている。興行を考慮すると、大手配給会社すら政治的テーマを扱うことに消極的だったのが事実」と発言した。

 

政府を批判するような監督の言動が続くと、日本国内の右翼勢力がいっせいに非難し出した。普段右翼指向の発言をしてきたある医師兼放送人は最近、自身のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に、「万引き家族をほめることこそ世界の恥ではないか。(祝いに)沈黙することが国家の品格」と書いた。NHK経営委員会で右翼小説家の百田尚樹さんも、「日本は歴史をしっかり見つめなければならない」という是枝氏のカンヌ映画祭でのインタビュー内容を指摘し、「たいした事でもないのに外国にまで行って話す」と非難した。


東京=キム・ボムソク特派員 bsism@donga.com