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フランス 揺れる出産強国

Posted May. 22, 2018 10:47,   

Updated May. 22, 2018 10:47

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フランス・パリ西部の郊外にある国立カトゥールビル病院には、毎年3千人以上の子どもが生まれる産婦人科がある。この病院の著名な専門医、ジョエル・プレシュアラルト産婦人科課長は先月12日、病院を訪れた記者に対して、「病院にいると出産率が下がっていると感じる」とため息をついた。

 

フランスは2010年以降、合計特殊出産率が2人を超え、欧州で出産率が最も高い出産強国に挙げられた。しかし、非常ランプが灯った。昨年の出産率が1.88人まで下がった。依然として欧州平均(1.6人)よりは高いが、最近3年連続して下がっており、下落傾向が深刻だ。昨年10月から今年3月までの6ヵ月間で出生数が11%も減少した。昨年10月に2061人だった1日平均の出生数が今年3月には1816人に下がった。

フランスの悩みは突破口が見当たらないことにある。これまでフランスは、欧州の他の主要国とは違って、移民流入ではなく出生数が死亡者数を上回る人口学的要因で人口が増加した。しかし、ベビーブーム世代が終わり、人口減少が予想されている。昨年のフランスの出生数は死亡者の数より16万4千人多かったが、これは第2次世界大戦以後、最も少ない数だ。

96年に1.6人の水準だったフランスの出産率が00年代に入って非常に高まった背景には、結婚しなくても子どもを産むことを受け入れる社会のムードと政府の全面的な出産・育児支援が挙げられてきた。実際、99年に婚姻関係に関係なく成人間の同棲を認め、これらの家庭にも出産、育児支援を可能にする連帯市民協約(PACS)が導入され、出産率が高まった。PACSを利用するカップルが00年の2万2千人から昨年19万2千人に大幅に増えた。しかし、最近になってこれさえも停滞している。

国内総生産(GDP)の5%を家族手当に割くほど出産や育児の支援を増やしたフランスは先の政権からマクロン現政権まで緊縮財政政策によって支援規模を減らす傾向だ。これも出産にともなう若者の経済負担を加重させている。

プレシュアラルト氏は、「出産医療支援がなかったなら、フランスで生まれた子どもの3%が生まれることができなかったと予測されているが、支援が減るのでそれにともなう影響もあるだろう」とし、「それでも(出産率下落の)最大の原因は、若い女性が結婚と妊娠を先送りするムードのためだ」と分析した。フランスのパリ第4大学のローラン・シャラール教授も、「米国は08年の経済危機直後に出産率が下がったが、フランスはそのような傾向でも例外だった」とし、「出産率の低下は経済的問題より80年代中盤以降に生まれた女性たちが以前の世代より子どもを産みたいと思う気持ちがあまりないことの影響が大きいようだ」と指摘した。


董正民 ditto@donga.com