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スウェーデン王女にまでセクハラ、アカデミーを揺るがす「悪い手」

スウェーデン王女にまでセクハラ、アカデミーを揺るがす「悪い手」

Posted May. 01, 2018 08:27,   

Updated May. 01, 2018 08:27

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「今年のノーベル文学賞の授賞をしないで来年10月に2人発表することもできる」。

「この時代の知性の象徴」ノーベル文学賞受賞者を選考するスウェーデン・アカデミーのノーベル委員会のペール・ベストベリー委員長は4月27日、「5月3日の会議で今年の受賞者を選考する」と明らかにした。スウェーデン・アカデミーは第2次世界大戦時の1943年以後、初めてノーベル文学賞受賞者を輩出できないほど最大の危機に直面している。

1786年にグスタフ3世によって設立され最高権威を誇るスウェーデン・アカデミーの危機は、昨年11月に始まった。

女性の性的暴行問題を告発する「MeToo(私も)運動」が世界的に広がった時、あるスウェーデンのメディアが、女性18人がフランス系写真作家ジャンクロード・アルノーから1996年から2017年まで性的暴行にあったと報じた。アルノーは、アカデミー委員であるカタリーナ・フロステンソンの夫でアカデミーの財政支援を受けてスウェーデン・ストックホルムで文化センターを運営している。その彼が、アカデミーが所有しているストックホルムやフランス、パリのマンションなどで女性たちに性的暴行をしたという事実が暴露された。

先月27日には、スウェーデンのメディア「スベスター・タグダブルラデト」が、アルノーは2006年、ビクトリア・スウェーデン王女までセクハラしたという衝撃的な事件も報じた。同紙によると、06年12月、ストックホルムのアカデミー所有のマンションの建物で開かれた宴会で、作家エバ・ビート・ブラットストロームは、アルノーがビクトリア王女の下半身を触るのを目撃した。当時、ビート・ブラットストロームは、アカデミーのホラセ・エンダル委員の妻だった。

 

彼は、「アルノーがさっと近づいて、王女の首から背中とその下まで撫でるのを見た」とし、「彼女の女性随行員が急いで前に出て彼を押し退けた。エンダルも、この場面を目撃した」と話した。その日の事件後、エンダルは王室から当時27歳だったビクトリア王女を絶対にアルノーのそばに一人にしないよう措置を取るよう指示を受けたという。ビクトリア王女は現国王のカル・グスタフ16世の長女で、次期王位継承序列1位だ。

スウェーデン王室は報道後、「この懸案について言及しない」としつつも、「MeToo運動を支持する」という声明を発表した。アルノーは「悪意のうわさ」と疑惑を否定した。

 

弱り目にたたり目でアカデミーは深刻な内部葛藤に包まれている。

セクハラ暴露後、アカデミーが調査を委託したローファームは、4月初め、アルノーがセクハラだけでなく2016年の受賞者である米国のポップ歌手ボブ・ディランをはじめ少なくとも7人のノーベル文学賞受賞者の名簿を事前に流出させたという報告書を提出した。その上、アルノーがアカデミーが所有したパリのマンションに自分の名前の表札を付けていたことも明らかになり、アルノーが妻プロステンソンと共に不当にアカデミーの会計を使っていたという疑惑も出てきた。

にもかかわらず、プロステンソンに対する何の懲戒措置もないと4月初め、アカデミー委員3人が反発して辞任した。一週間後、サラ・ダニウス事務総長も事態に責任を負って辞任した。

 

スウェーデン警察は本格的に受賞者名簿の流出の件に対する捜査に着手した。警察は、ノーベル文学賞受賞者をめぐって賭博が起こるため、アルノーの事前流出がこれと関連した可能性も排除していない。

今年のノーベル文学賞受賞者選考に支障が生じたのは、相次ぐ委員の辞任のためだ。委員定員18人うち6人が今回の事件と関連して辞任した。他の理由ですでに2人も活動を中断した状態なので現在活動中の委員は10人だけ。規定上、委員は終身職なので辞任すら不可能だ。これに対しカール・グスターヴ16世スウェーデン国王は、規定を変えて新しい委員を選出することができるようにすると発表した。


董正民 ditto@donga.com