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「人権のアイコン」が人権弾圧に背を向ける、二つの顔のアウンサン・スーチー氏

「人権のアイコン」が人権弾圧に背を向ける、二つの顔のアウンサン・スーチー氏

Posted September. 15, 2017 09:38,   

Updated September. 15, 2017 09:40

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「私の心の中であなたは定義の象徴だった。最高位に上った政治的対価が沈黙なら、その対価はあまりにも過酷である」

1984年のノーベル平和賞受賞者である南アフリカのデズモンド・ツツ司教は最近、ミャンマーの実権者であり、1991年のノーベル平和賞受賞者であるアウンサン・スーチー国家顧問宛てに送る手紙を自分のフェイスブックに掲載した。ミャンマー軍によるロヒンギャ族の討伐作戦が、事実上「民族浄化」だという国際的非難がますます高まっているが、スーチー氏がそれに目をつむっていることを指摘したのだ。

仏教国であるミャンマーで、イスラム系少数民族であるロヒンギャ族の住民40万人が先月25日から始まった政府軍の無慈悲な討伐作戦を避けて、バングラデシュ側の国境を越えた。全体ロヒンギャ族(120万人)の3分の1が命をかけた国外脱出に踏み切ったのだ。英日刊紙「ガーディアン」は13日付けで、ロヒンギャ族が居住する471の村のうち176村は完全に空になり、34村は住民の一部だけが残っているなど、40%ほどが焦土化されたと伝えた。国境地帯には、再入国を防ぐために地雷を埋設したという主張も出ている。ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権最高代表は、「民族浄化の教科書的事例とみられる」と評価した。

事態を注視してきた国連安全保障理事会は13日、緊急会議を開き、「ロヒンギャ族に対する暴力を中止し、法秩序を再確立して市民を保護するために迅速な措置を取るよう促す」という声明を採択した。ミャンマー政府をかばってきた中国とロシアも参加した。迅速な事態解決を促すノーベル平和賞受賞者10人の公開書簡も決定に影響を及ぼした。

国際的非難世論が沸騰しながら、スーチー氏が受賞したノーベル平和賞を撤回すべきだというオンライン上での請願に、すでに世界で40万人以上が署名した。しかし、スーチー氏は5日、トルコ首脳との電話会談で、「ロヒンギャ族を巡る事態の報道は国家間紛争を引き起こし、テロリストを利する偽ニュースだ」と主張し、失望感が増している。ロヒンギャ族武装団体が先に警察検問所を襲撃し、これに反撃しただけだということである。「民主化と人権のアイコン」として広く知られているスーチー氏に国際社会が裏切られたという評価まで出ている。

独裁政権の下で数回の投獄と自宅軟禁を経験したスーチー氏は、2015年の総選挙で民主主義民族同盟(NLD)の勝利を導いたが、子供と夫が英国国籍者であることを理由に、大統領につくことができなかった。国家諮問役と外交長官を務めて実権者になった。しかし、ロヒンギャ属討伐を機に民族浄化論議の中心に立ち、ついに制裁対象に挙げられている立場になった。「バルカンの屠殺者」という悪名まで得たミロシェビッチ・セルビア大統領が1992~1996年にアルバニア系イスラム住民25万人を虐殺したことで固まった反人類的「民族浄化」の汚名がノーベル平和賞受賞者であるスーチー氏についてまわる。

スーチー氏は、国際社会の否定的世論を意識したかのように、今週ニューヨークで開幕する国連総会への出席予定をキャンセルした。19日に予定されているスーチー氏のテレビ放送演説が今回の事態の分岐点になるものとみられる。

仏教国であるミャンマーには135の少数民族がある。ミャンマー政府は、イスラム少数民族「ロヒンギャ族」を国民として認めず、バングラデシュから渡ってきた不法移民として扱う。財産権もなく、いつでも住んでいる土地は没収できると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは主張した。



具滋龍 bonhong@donga.com