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パプリカ輸出が初めて1億ドル突破へ、「国民野菜」の現状と課題は

パプリカ輸出が初めて1億ドル突破へ、「国民野菜」の現状と課題は

Posted September. 29, 2018 08:35,   

Updated September. 29, 2018 08:35

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18日に訪れた全羅北道南原市雲峰邑(チョルラブクド・ナムウォンシ・ウンボンウプ)にあるパプリカのビニールハウスは、普段考えていたビニールハウスとは違った。面積は7900平方メートル(約2400坪)ほどで広く、高さも6メートルまで育つパプリカより高くて巨大だった。ハウスの中ではフォークリフトが行き来しながら、ほどよく熟した赤・黄・オレンジのパプリカを積んで運んでいた。ハウスの規模だけでなく、部外者の立ち入りを厳しく規制しているのも印象的だった。菌の流入を懸念して部外者の立ち入りをなかなか許可しなかったため、この日の訪問も韓国農水産食品流通公社(aT)のアレンジで実現した。韓国国内に入ってきてから約20年しか経っていないパプリカが、今年初めて1億ドル(約1100億ウォン)の輸出達成を控えた「生鮮農産物の第1の輸出製品」である理由を、一部気づかせる現場にふさわしいという考えがした。

ビニールハウス農場を所有するイ・ジョング氏(37)は、「秋夕(チュソク=陰暦8月15日の節句)を前後に押し寄せてきた内需と輸出注文に間に合わせるために、フォークリフトから降りる暇さえない」とし、「1箱(5キロ)が4万5000ウォンくらいだが、物が良ければ6万ウォンまでもらえるが、収穫が遅れるほど価格は下がる」と話した。

●スマートファームの拡大で導入20年目で「国民野菜」に

パプリカは、1995年にチョ・ギシム氏(現在は農業会社法人「農産」の代表)が、オランダ産のパプリカの種を日本から取り寄せて、全羅北道金堤(キムジェ)の約1.1haの土地で初めて栽培したのが国内生産の始まりだ。

しかし、パプリカの元祖であるオランダ産やニュージーランド産が掌握していた日本市場を短期間で占領した。厳しい日本市場を攻略しながら、私たちならではの高級栽培、生産技術のノウハウが少なからず蓄積されていた。情報通信技術(ICT)とモバイル機器を活用するスマートファームの普及率が高まっている。黄色いパプリカは、その形のように「ゴールデンベル」を鳴らし続けている。

イ氏の農場オフィスのコンピュータ・モニタでは、ビニールハウス内の10個の温室の温度と湿度などが一目で見られる。複合環境制御システムで温室内の水分と二酸化炭素濃度に応じた換気、暖房までを「ワンクリック」で調節できる。苗を植えた土にも、水と栄養分が日照量に合わせて自動的に投入される。

パプリカの茎のあちこちには、天敵昆虫の入ったカートンが付いている。カートンの上部の穴から昆虫が出てきて、パプリカを攻撃する害虫を食う。パプリカに害を与えるハダニ、ハスモンヨトウ、アブラムシなどの害虫をこれらの天敵昆虫で撲滅する。

●農家の協力で品質向上

パプリカの個々の生産者たちが集まって、組合法人や生産協議会のような専門生産団地を作って、共同で品質向上、専門技術普及などを行うことも、製品品質と競争力を高める。農林部とaTなどによると、現在の専門生産団地は全国36カ所で、429軒の農家が加盟している。同じ団地から出た商品は、共同ブランドで産地の流通業者や地域農協の共同選別場に送られて出荷される。

南原(ナムウォン)は高冷地地域なので夏作形(収穫型)のパプリカを栽培する。夏作形は通常、1月に種を撒いて5月に花が咲き、以降70日ほど経つとパプリカが実って収穫できる。慶尚南道晋州咸安(キョンサンナムド・チンジュ・ハムアン)、全羅南道和順(チョンラナムド・ファスン)、靈光(ヨングァン)などは冬作形で、7、8月に種をまき、11月から翌年の7月にかけて収穫する。

●輸出1億ドル達成が目前、日本市場への偏りと国産種子の開発が課題

昨年のパプリカの輸出額は8900万ドル(約989億ウォン)で、国内生鮮農産物の中でトップだったが、今年は初めて輸出1億ドルの突破を目前にしている。

昨年は生産量の44.6%である3万4842トンが輸出されたが、その99%が日本だ。日本で韓国産のパプリカは、2001年からライバルのオランダとニュージーランドを押して市場シェアトップを記録している。昨年、日本国内での韓国産パプリカのシェアは78.6%。取材に同行したaTのイ・ウォンギ部長は、「徹底した管理で、6年間連続して日本向け輸出商品から残留農薬が検出された事例がない。さらに、品質もオランダ産のパプリカに近接している上、価格競争力もあるので、日本国内での新規販路の開拓に力を得ている」と話した。農林畜産食品部のキム・ドクホ食品産業政策官は、「パプリカは今後も、スマートファーム農業をリードする品目だ」とし、「輸出がさらに羽を付けることができるように積極的に支援する計画だ」と語った。

輸出市場が日本に偏っていることは、早急に解決すべき課題と言える。aTのイ・ピルヒョン輸出戦略処長は、「済州(チェジュ)や江原(カンウォン)を中心に季節に関係なく年中生産ができるようにすることで、供給量を安定的に確保し、新しい市場を開拓しなければならないだろう」と語った。イ処長は、「中国との検疫交渉が妥結されれば、中国市場にも入り、韓流ブームの強い台湾と東南アジアを攻略するための市場テストも行いたい」と伝えた。

種子をすべてオランダの種苗会社に頼っていることも問題だ。パプリカの小さな種子一個が500ウォンで、3グラムで45万ウォンだ。同じ重さの金よりも高い。チュンヒャンゴルバレボンパプリカ作目会のイ・スウォン会長は、「国産種子はあるが、品質が及ばない」とし、「輸出トップの国にふさわしく、国産種子を開発するための政策的支援が必要だ」と話した。


兪載泳 elegant@donga.com