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三星電子、AIの世界的碩学2人を同時に招へい

三星電子、AIの世界的碩学2人を同時に招へい

Posted June. 05, 2018 08:47,   

Updated June. 05, 2018 08:47

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三星(サムスン)電子が初めて「最高研究科学者(Chief Research Scientist)」の職責を新設して、人工知能(AI)分野の世界的碩学二人を同時に迎え入れた。三星電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(写真)の主導で、グローバルAI人材の迎え入れに会社を挙げて力を入れている。

4日、三星電子は、米プリンストン大学のセバスチャン・スン(韓国名はスン・ヒョンジュン・52)教授とペンシルベニア大学のダニエル・リー(イ・ドンリョル・49)教授を副社長に迎え入れたと明らかにした。スン新任副社長は、三星リサーチ(SR)で今後、三星電子のAIを巡る戦略樹立と先行研究の諮問を担当することになる。三星電子はスン副社長の迎え入れのためにCRSポストを作って、「1号CRS」に任命した。三星電子側は「当該技術分野で優れた業績と専門性を持っている人材のために、最高技術責任者(CTO)のようにCレベル級に新設した役職だ」と説明した。

スン副社長は、脳連結網研究である「コネクトーム(connectome)」分野の第一人者である「スター科学者」だ。コネクトームとは一種の脳地図で、脳神経細胞の一つ一つがどのようにつながるかを突き止める研究だ。870億個の神経細胞一つあたりに約1000個ずつつながっている接合部(シナプス)が研究対象だ。東京大学医学部の岡部繁男教授のような脳科学の専門家たちは、「脳連結網の研究は、1970~1980年代の神経網原理を基にした現在のAI技術を画期的に発展させることができるだろう」との見方を出している。とある科学界の関係者は、「コネクトームという言葉自体がスン教授のおかげで一般に知られたといっても過言ではないほど、この分野の代表者だ」と評した。

イ新副社長は、AIロボット分野の専門家で、三星リサーチで次世代機械学習アルゴリズムとロボティクスの研究を担当する予定だ。

二人共に米国で生まれた韓国人2世の科学者だ。スン副社長は、著名な哲学者である米テキサス大学の碩座教授であるスン・ゲホ博士の息子だ。イ副社長は、KAIST材料工学科の招聘教授を務めたミシガン工科大学のイ・ジョンギル教授の息子だ。本来の専攻である物理学の代わりに、AI分野の研究に飛び込んだ「融合型人材」という共通点もある。スン副社長は、米ハーバード大学で物理学の博士号まで取ったが、神経科学への関心のためAI分野に足を踏み入れた。イ副社長も同様に固体物理を専攻したが、自動化研究に方向を切り替えた。ベル研究所の研究員出身である二人は、AI胎動期よりしばらく前だった1999年、人間の脳神経作用からインスピレーションを得て、人間の知的活動をそのまま模倣したコンピュータプログラムを世界で初めて共同開発した。関連論文は当時、英紙ネイチャーに掲載されて話題となった。

情報技術(IT)業界では、今回の碩学迎え入れの過程で、イ副会長の役割が大きかっただろうという声が出ている。イ副会長が経営復帰直後だった3月、カナダのトロントなどに海外出張に行った背景には、現地でAI人材を迎え入れるための目的もあったという。三星電子の李健煕(イ・ゴンヒ)会長も「S級人材」の迎え入れのために直接走り回った。財界の関係者は、「世界的にAI人材が非常に不足している状況の中、主要グローバル企業各社が我先にAI人材を先取りしている」とし、「李副会長も父親のように直接乗り出して『AIグル』と交渉している」と解釈した。

実際人材プールはまだ限られているので、主要企業の間で人材の奪い合いが頻繁に起きている。昨年、中国百度は、マイクロソフト(MS)からAI事業を統括してきた齊魯副社長を最高執行責任者(COO)に連れて来た。今年4月、アップルはグーグルでAI業務を担当していたジョン・ジャナンドレア首席副社長を最高経営陣に迎え入れた。三星電子も今年1月、グーグルとMS出身のラリー・ヘック博士を迎え入れた。

三星リサーチを総括する三星電子の金炫奭(キム・ヒョンソク)代表は最近、AI人材1000人を採用するという目標を明らかにし、「まだAI人材が国内では多く不足している。世界から人材を確保することが重要だ」と強調した。


キム・ジヒョン記者 ユン・シンヨン記者 jhk85@donga.com · ashilla@donga.com