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「夕方のある」新世界…賃金を減らさず来年から週35時間勤務

「夕方のある」新世界…賃金を減らさず来年から週35時間勤務

Posted December. 09, 2017 09:12,   

Updated December. 09, 2017 09:46

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「パパが仕事が終わればすぐ迎えに来るから、先生のいうことをよく聞いていてね」

共働きをするEマートソウル本社のキム某課長は最近、二人の子供を夜遅くまで保育園に預けておかなければならなかった。「子供の世話をする」おばさんが二日間休暇に行ったためだ。午後6時きっかりに退社をして、急いで保育園に走っていったが、既に7時をだいぶ回っていた。電話機に向かってむずかっていた子どもたちは、がらんとした保育園でしょげきってパパを待っていた。キム課長は「子供たちにふと申し訳ない気持ちがした。共働き家庭のほとんどが同じ悩みをしているだろう」と話した。キム課長は、今後はこのような悩みがだいぶ軽減されることになった。

新世界(シンセゲ)グループは、来年1月から、1週間の労働時間を40時間から35時間に5時間短縮すると、8日明らかにした。勤務時間は減ったものの、賃金削減はない。欧州などの先進国では、短縮勤務を実施する事例が多いが、国内大企業の中で「週35時間制」の導入は、新世界が初めてだ。新世界デパート、Eマートなど、すべての系列会社に共通して適用される。

勤務制が変わると、午前9時に出勤して午後6時に退社していたキム課長の日常も変化が予想される。退社時間が午後5時へと1時間繰り上げられ、「夕方のある生活」が可能になる。保育園で子供たちを早く連れて来れば、5~7時に子供の面倒を見ていたおばさんの給料120万ウォンも節約できるようになる。妻が子供を連れて来る日には、運動などの趣味もやってみるつもりだ。

新世界はまた、チームや職務によっては、勤務時間を自由に調整できるようにした。ほとんどが「9-to-5」(午前9時出勤、午後5時退社)の適用を受けるが、一部は、「8-to-4」や「10-to-6」の中から選択できる。

職員たちにとっては勤務条件が良くなったものの、会社としては、勤務時間の短縮は大冒険に近い。新世界も、過去2年間研究して最終案をまとめたと説明した

まず、夜12時まで営業していたEマートは、来年から閉店時間を午後11時に1時間縮める。午後11時~夜12時の売上は、一日の売上高の2~3%程度なので、大きな割合ではないので下した決断である。デパートや複合ショッピングモールも今後、一部の店舗の営業時間の短縮を検討すると伝えられた。Eマートで営業時間の短縮結果を見守った後、適用範囲を拡大するという意味だ。新世界グループの関係者は、「店の営業時間を減らせば売上は減るが、役員や社員たちの士気が上がるだけに、業務効率はさらに高まるものと期待している」と語った。

週35時間勤務制が産業界全般に拡散するかどうかはまだ未知数だ。現在68時間である労働時間を52時間に短縮する政府案についても、多くの企業が懸念を示しているからだ。新世界は流通業を主力とするだけに、「破格の実験」が可能だが、製造業は事情が違うという指摘もある。三星(サムスン)も最近になってようやく「週52時間勤務制」が実現可能かどうか、一部の系列会社でシミュレーションをしている。

特に中小・中堅企業は、来年の最低賃金引き上げに労働時間の短縮が重なった場合、負担は倍になる。中小企業中央会の関係者は、「労働者の勤務環境の改善は前向きなことだが、大企業の労働時間短縮が協力会社の労働負担増加につながるのではないか心配だ」とも語った。中小企業中央会は12日、政府の労働時間短縮政策に反対する緊急記者会見を開く計画だ。

中央(チュンアン)大学経営学科のウィ・ジョンヒョン教授は、「労働時間の短縮と最低賃金の問題がかみ合っている。すぐに中小企業は、生産量と業績に打撃を受けざるをえない」と指摘した。ウィ教授は、「一方では労働時間の短縮が可能な大企業と、そうでない中小企業の間で日常的労働強度の差がさらに広がることもある」と強調した。



姜昇賢 byhuman@donga.com