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SKTが「量子乱数生成チップ」を開発、26兆ウォンの量子市場に挑戦

SKTが「量子乱数生成チップ」を開発、26兆ウォンの量子市場に挑戦

Posted July. 24, 2017 09:57,   

Updated July. 24, 2017 10:23

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スーパーコンピュータより数千万倍も速い演算速度、ステルス機を感知する高精度センサ、ハッキングや盗聴・傍受が不可能な暗号通信…。

「量子」が情報通信技術(ICT)のパラダイムを変えるキーワードとして浮上している。米国、中国、日本などのICT強国はもとより、グーグルやIBM、アリババなどのグローバル情報技術(IT)企業が我先に量子技術への投資を増やしている。韓国も競争に参入したものの、まだ投資計画は不透明な状況だ。

11日、未来創造科学部(未来部)の兪英民(ユ・ヨンミン)長官は、就任の辞で、政府投資が急がれる分野として「量子情報通信」を名指した。量子技術は、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などと一緒に第4次産業革命時代の重要分野の一つに挙げられる。兪長官は、「量子情報通信のグローバル競争力が先進国に比べて遅れていると評価される」と語り、「重要技術の開発と専門人材の育成に集中的に投資したい」と明らかにした。

しかし、未来部が推進している「量子情報通信の中長期技術開発事業」は、予算審議の過程で停滞している。この事業は、8年間4542億ウォンの国家支援金と974億ウォンの民間負担金など、計5516億ウォン規模の投資をするという内容で、昨年10月から予備妥当性調査が行われている。当初、今年5月まで本審査が完了し、国会審議を受ける予定だった。

しかし、評価専門機関「韓国科学技術企画評価院(KISTEP)」が最近、中間評価で否定的立場を示したことで、暗礁に乗り上げられている。経済性と実用化のレベルが基準に満たないという理由からだった。未来部とSKテレコムなどは今月末まで事業内容を補完し、変更企画書を出す予定である。最終評価は、早ければ9月に行われる。

量子通信は、光の最小単位である光子にパスワードを乗せて送信する方式であり、盗聴が不可能な技術と評価される。0または1で状態がぴったり当てはまるデジタル信号と違って、0と1が重なる重畳性と一度変わると戻すことのできない非可逆性などの物理的性質を持つため、従来の数学的アルゴリズムでは破ることができない。

この技術は2013年6月、元米中央情報局(CIA)要員だったエドワード・スノーデンが、米政府の無差別的盗聴を暴露後、注目された。盗聴や傍受に敏感な中国は量子通信に毎年3000億ウォン近くを投資した末、昨年8月、世界初の量子通信衛星「墨子」号の打ち上げに成功した。年間1兆ウォンを投資する米国は、米航空宇宙局(NASA)を中心に長距離量子暗号通信プロジェクトを進めながら、技術公開と機器輸出には消極的な立場である。欧州連合(EU)は、2018年から10年間、計10億ユーロを投資する計画を立てた。英国とオランダなどの個別国家単位の投資も、数千億規模で別途行われている。

一方、韓国は先進国より量子産業への投資が遅れていると評価される。国内量子産業の投資規模は年間172億ウォンで、世界17位の水準だ。専門論文を掲載した研究人材も100人に達していない。政府は2012年、量子情報通信を大韓民国の10大IT中核技術に含ませたが、昨年まで大規模な投資はなかった。

国内企業のうち、SKテレコムは23日、IoTと自律走行車などのハッキングを最初から遮断する量子乱数生成チップを世界最小型(5×5ミリ)で開発し、本格的に市場攻略に乗り出すと発表した。量子の特性を利用して、予測不可能でパターンのない「純粋乱数」を作る装置。同社は、2011年から7年間、500億ウォンを投資するなど、国産量子技術の開発に積極的に乗り出している。

量子技術は、通信セキュリティの強化だけでなく、高速演算で国防、医療、ITなど様々な分野での応用が可能である。高速演算でAI、ディープラーニング、遺伝子分析性能を向上させ、極めて微細な動きを測定できるので、資源探査、精密医療機器、レーダーなどへの活用が可能である。2025年、世界量子情報通信の市場規模は、量子暗号通信が9兆ウォン、量子コンピュータが17兆ウォンの計26兆ウォンを超えるものと予想される。



申東秦 shine@donga.com