軍当局によると、北朝鮮は同日午前5時30分頃、江原道元山(カンウォンド・ウォンサン)一帯で、ムスダンを移動発射台(TEL)から発射した。ミサイルは発射直後、上昇段階で突然傾き、飛行姿勢を保てず、数百メートル上空で爆発した。
軍消息筋は、「ミサイルが正常な飛行軌道に入る前に問題が発生したとみえる」と話した。このような状況を米国の情報衛星がリアルタイムで確認し、韓国軍も北朝鮮に対する信号情報収集や盗聴などで確認した。軍関係者は、「韓国と米国の評価の結果、発射の失敗と結論を下した」と話した。
これに先立ち、北朝鮮が今月初めから、ムスダンを積んだTEL2、3台を元山一帯に相次いで配備するなど発射の兆候を見せ、軍当局はイージス駆逐艦を東海に派遣するなど挑発に備えた。
核弾頭を搭載できるムスダンの最大射程距離は4000キロと推定される。B-52爆撃機など米国の戦略兵器が配備されたグアムのアンダーソン基地まで到達できる。2007年から実戦配備され、10年の労働党創建65周年の軍事パレードで実物が初めて公開された。
しかし、一度も発射されたことはなく、具体的な性能と威力はヴェールに包まれていた。旧ソ連製R-27(SS-N-6)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改造し、実験発射しなくても性能と信頼に問題ないと北朝鮮は自信を持っていたと韓米軍当局は見ている。
米国が09年からグアム基地に高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備したのも、ムスダンの脅威に備えるためだった。
しかし、太陽節の「祝砲用」として初めて発射したムスダンが失敗したことで、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は面目が丸潰れとなった。R-27SLBMの推進体を開発し、エンジンを改良して作ったムスダンの脆弱性が露わになったためだ。
軍関係者は、「ミサイルが発射直後に空中爆発したのは、エンジンや推進体に重大な欠陥がある可能性が高い」と話した。北朝鮮が最近相次いで公開した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)用のエンジンと固体燃料ロケットの性能の限界が露わになったという指摘も出ている。軍当局者は、「北朝鮮全域に配備された弾道ミサイル数百発のお粗末な管理実態を示す」と指摘した。金第1書記は、発射失敗の責任を問い、北朝鮮の技術陣を厳しく問責するとみえる。
軍は、北朝鮮が発射の失敗を挽回するために、来月の第7回党大会の前にムスダンを追加発射する可能性に備えている。ムスダンの発射を成功させた後、5度目の核実験を強行し、対米核攻撃の脅威を最大化する可能性が高い。現在、元山一帯では、ミサイルを積んだ別のTELの動きが確認されている。
日本は、ムスダンの発射失敗に敏感な反応を示した。岸田文雄外相は、記者団に、「北朝鮮のいかなる挑発行為も容認できない」とし、「米韓両国と連携して北朝鮮に自制を求める」と明らかにした。
ユン・サンホ軍事専門記者 東京=ソ・ヨンア特派員
윤상호군사전문기자ysh1005@donga.com sya@donga.com