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トランプ氏が「費用が莫大であきらめた」と言った韓米軍事演習、その真相とは

トランプ氏が「費用が莫大であきらめた」と言った韓米軍事演習、その真相とは

Posted March. 09, 2019 08:26,   

Updated March. 09, 2019 08:26

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「費用が莫大なので、韓米合同軍事演習を早くからあきらめた」

トランプ米大統領は先月28日、ハノイでの米朝首脳会談が「合意なし」で終わった直後、記者会見でこのように話した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との非核化合意が決裂したが、金が惜しくてこれ以上合同演習をしないという「爆弾宣言」だった。

その数日後、キー・リゾルブ(KR)・トクスリ演習(FE)の「終了」発表に続き、秋に予定された乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン(UFG)演習も廃止が確定し、トランプ氏の発言が現実になった。こうした中、外国の報道機関は最近、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設廃棄の提案を擁護し、トランプ氏と意見の相違を見せたと指摘するなど、韓米同盟の異常ムードが増幅している状況で、北朝鮮が東倉里(トンチャンリ)ミサイル発射場を復旧し、山陰洞(サンウムドン)のミサイル研究団地で物資の移動が相次いで確認されるなど、懸念が強まっている。

にもかかわらず、韓米国防当局は大規模な合同軍事演習の終了(廃止)が「完全な非核化」達成に向けた外交的努力を後押しする措置であると強調している。合同軍事演習の廃止で名分(非核化交渉の維持)と実利(コスト削減)をいずれも得ることができるということだ。果たしてそうか。

●年間の合同軍事演習の費用は約800億~1千億ウォン

トランプ氏はハノイでの記者会見で、「演習のたびに数億ドルがかかるので、(韓米)合同軍事演習を中止した」と主張した。これまで米政府がKRやFE、UFGなど大規模な定例演習に毎年数千億ウォンの自国の血税を使ってきたということだ。軍当局者は、「トランプ氏が発言した金額は非常に膨らんでいる」としつつも、「これまで米国が演習費用の多くを負担したのは事実」と話した。

毎年の演習にかかる費用は一様ではない。演習内容と参加戦力(兵力および兵器装備)の規模などによって違いが生じるほかないためだ。米戦略兵器が大挙出動すれば演習費用は急増するが、通常の兵力・装備が参加する水準なら大幅に減る。

軍当局によると、2014~18年を基準に毎年の合同軍事演習に投入された費用は約800億~1千億ウォンと推定される。この費用は「自国負担」が原則だ。韓米両軍が、演習に動員した自国軍の兵力・装備に必要とされる費用を支払う。

演習費用には参加兵力の人件費や輸送費、被服費、食費、医療用品などが基本項目に含まれる。艦艇や航空機、戦車など兵器・装備の燃料費や修理部品費なども入る。このような項目を合わせて韓国軍が負担した演習費用は年間約300億ウォンという。残りの500億~700億ウォンは米軍の負担ということだ。米軍の演習費用の中で80%以上は戦略兵器の展開費用が占める。これまで演習に参加してきた戦略兵器としては、原子力空母、原子力潜水艦、戦略爆撃機、ステルス戦闘機などを挙げることができる。1機(隻)当たり数千億~数兆ウォンのこれらの戦略兵器が演習や危機発生時に韓半島に出動する費用は、少なくて数億ウォン、多くて100億ウォン以上とされる。

たとえば「死の白鳥」と呼ばれるB-1B戦略爆撃機1機がグアムのアンダーソン基地から韓国に展開する費用は30億~40億ウォンと推定される。空中給油や武装および整備、戦闘機の援護などが含まれた費用だ。軍関係者は、「北朝鮮の核・ミサイル挑発が『頂点』だった17年には、B-1B戦闘爆撃機がほぼ毎月韓半島に出撃した」とし、「その年だけでB-1B戦闘爆撃機の展開費用は数百億ウォンにのぼるだろう」と話した。

1機の価格が2兆5千億ウォンにのぼるB-2ステルス爆撃機の出撃費用も50億~60億ウォンにのぼる。燃料費のほかに飛行後、機体にステルス塗料を新たに塗るのに多くの費用がかかるためだ。

米戦略兵器の「トップランナー」である原子力空母の展開費用も莫大だ。ある程度の国家の海・空軍力に匹敵する空母1隻が韓半島の海域に一度出動するのに約100億ウォンが必要とされる。空母に搭載された最新鋭軍用機約70機の燃料費や約5千人の乗組員の人件費や手当てなどが含まれる。空母を護衛するイージス駆逐艦や原子力潜水艦、運用員などの運営維持費(一日30億~50億ウォン)は別に計算しなければならない。このほかに在日米軍基地に配備されたF-22、F-35ステルス戦闘機が韓半島に一度出撃するのに1億~2億ウォンの費用が推定される。軍関係者は、「出撃の台数が増え、爆撃訓練などをすることになれば、展開費用は跳ね上がる可能性がある」と語った。

●費用削減、北朝鮮に対するテコの効果は「さて・・・」

ハノイでの米朝首脳会談の決裂後、トランプ氏の「希望どおり」韓米合同軍事演習が次々に廃止・縮小され、米国はそれだけ費用を節約できるようになった。しかし、果たして米国に「儲かる商売」なのか綿密に考えなければならないという指摘が多い。まず、経済面で米国が得る金銭的効果は700億ウォンで、F-35ステルス戦闘機1機の価格(約1千億ウォン)にも及ばない。今年の米国の国防予算(約7170億ドル・約808兆ウォン)の0.01%未満で「雀の涙」ほどだ。

一方、大規模な演習がなくなることで、有事での合同防衛態勢の支障が憂慮されるうえ、北朝鮮はもとより中国やロシアなど周辺国に韓米同盟の根幹が揺らいでいると映る恐れがあるという点で、得るものより失うものが多いという批判が提起されている。軍当局者は、「米戦略兵器など大規模戦力が参加した韓米合同軍事演習は、北朝鮮に対する抑止のほかに韓半島に対する米国の影響力の維持・拡大という戦略的意味も無視できない」と強調した。中国が、韓米合同軍事演習の廃止を米国が「韓半島から手を引いた」と見て、軍事「崛起」など勢力拡張に出る場合、韓半島など域内の情勢が激化すれば、これは中・長期的に米国の国益にも合致しないということだ。

米国内でも、たかだか数百億ウォンを惜しんで、韓米同盟の根幹である合同軍事演習を廃止したことは、戦略的失敗という批判が強まっている。ダニエル・ラッセル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は最近、ある専門家対談で、「有事の際、韓国と在韓米軍の防衛に向けた韓米合同軍事演習を中止したことは『恐ろしい誤り』」と指摘した。

韓米合同軍事演習の廃止が北朝鮮を非核化の交渉テーブルでつかせる効果があるのかも疑問視されるという分析が出ている。2016年夏に韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は最近、東亜(トンア)日報社付設化汀(ファジョン)平和財団・21世紀平和研究所(南時旭理事長)が主催した「北核および韓半島情勢討論会」で、「昨年から韓米両国が合同軍事演習を延期し、縮小・廃止したが、北朝鮮はこれを『インセンティブ』と考えないだろう」と指摘した。

北朝鮮が核兵器を完成した後では、通常戦力中心の韓米合同軍事演習を恐れたり意に介さないということだ。太氏は、「正恩氏が昨年の軍関連の記念式に一線の作戦指揮官を呼んだことは、核兵器保有に対する強い自信の表すもの」とし、「韓米合同軍事演習は、非核化交渉のテコの役割はできないだろう」と強調した。


尹相虎 ysh1005@donga.com