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核不可侵条約→韓米演習中止→米軍撤収…北朝鮮の崖っぷちの賭け

核不可侵条約→韓米演習中止→米軍撤収…北朝鮮の崖っぷちの賭け

Posted August. 05, 2017 07:17,   

Updated August. 05, 2017 07:40

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が、米本土を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦保有という最終目標に向かって最後の全力疾走をしている。7月だけで2度もICBMの発射実験を行った。準備ができれば手あたり次第に発射している。

先月28日に発射されたミサイル「火星(ファソン)14」は、最大高度が3724.9キロに達した。今回のICBMが米本土を攻撃できるということに専門家の間で意見の相違はない。弾頭の大気圏再突入の技術まで完成したかは確実でないが、開発のスピードから見てこの関門もまもなく越えるものと見える。次の段階はICBMに軽量化された核弾頭を装着することだ。

金委員長は、米国がいかなる制裁をしようと、核弾頭を装着したICBMを保有するという野心を捨てる考えはないようだ。金委員長が核弾頭装着ICBMに執着するのはなぜか。金委員長の思惑と野心を独白の形式で分析してみた。

「高地が目前に見えるのに核弾頭ICBMをあきらめろと?絶対にできない。無条件GO!」

このために10年以上、制裁の中でもやってきたのに、これまで流した血の汗が惜しくて、絶対に捨てられない。制裁するならいくらでもやれ。どうせ制裁してみても実効性はない。私たちは鍛練されている。

私に最も重要なことは権力を維持することだ。制裁で人民が多少死んでも、体制維持には大きな問題ではない。1990年代半ばに100万人以上が餓死しても権力を維持した父親のノウハウも受け継いだので、それには自信がある。もし餓えた人民が暴動を起こしても、核弾頭ICBMを握っている以上、米国や南朝鮮は絶対に介入できないので、内部鎮圧はいくらでもできる。米国の甘い約束で核開発を放棄したリビアのカダフィや核がなくてみじめに死んだイラクのサダム・フセインのようにはならない。

これまで核とICBM開発を通じて人民に「米国と対抗して戦う偉大な指導者」という姿を見せたが、今になって放棄すれば私の体面はどうなるのか。これを開発する間は、内部を強力に統制することができる。指導者が超強大国の米国と対抗して死闘を繰り広げる時に不平不満を言う者は生かす必要すらない。

米国はいつも私たちを無視し、乞食扱いした。事実、口先だけだったが、私たちがいくら平和協定を結ぼうと要求しても、韓米軍事演習を中止せよと言っても、何の反応も示さなかった。しかし、米本土が核攻撃の射程圏に入るなら、話は変わるだろう。今は立場が変わったので、堂々と核軍縮交渉の場で対座できる。米国が呼べば出て行くが、核兵器は放棄できない。そのカードを渡す瞬間、私の唯一の力は消えるのだから。

私は「朝米核不可侵条約」を結ぶことを要求する。米国が核を保有するロシアや中国ともうまく付き合うのに、私たちが彼らのように対するよう要求できない理由はない。米国が不可侵を約束すれば、朝米間の休戦協定を平和協定に変えることを主張する考えであり、韓米軍事演習の中止も要求するつもりだ。そして米軍を撤収させなければならない。そうすれば南朝鮮は私の手中に入る。

南朝鮮が割り込んで、民間交流だとか共同経済開発だとか餌を投げるのは身の程知らずだ。金銭で考えても私たちの核ICBMがどれほどになるか、彼らは理解もできない。

2000年に父が米国とミサイル協定を結んだ時、私たちが受けることにしたことを思い出させてやろう。私たちがミサイルを廃棄する条件として、米国は毎年10億ドル、3年間で30億ドルと毎年3つの人工衛星を発射することを約束した。しかしあの時、私たちが保有したミサイルはせいぜい射程距離が1200キロにすぎなかった。

今や射程距離は10倍に増え、それに核弾頭まで搭載できるのに、500億ドルを要求しても私たちの方が損をする。米国や南朝鮮がそのような金を出せるのか。絶対に出せないだろう。

米国が私たちの核とICBMの能力を認めれば、その時からは私もすこし悩む。その時になって、核実験とICBM発射実験は、もはや彼らを驚かせることができないからだ。だからといって私たちがいつまでも実験だけしているわけではない。

その時はもう少し強く出ることもできる。南朝鮮が苦しくなるまで苦しめ続ける。だからといって彼らが戦争をしかけることはない。米国に対して、中東のような外国に核ICBM技術を売ると言ってみようか。この世の中には、この程度の技術を買うために少なくとも数十億ドルを払う国はいくらでもある。

調子に乗っていると米国が私を除去するかもしれないので、少しは心配になる。しかし、私もよく考えた。私に代わって朝鮮を確かに掌握し、統治する人が出てくるだろうか。とんでもない。張成沢(チャン・ソンテク)、金正男(キム・ジョンナム)のように少しでも指導者になる可能性がある者は皆殺した。私を除去した後、この地が無政府状況になり、北東アジアに連鎖混乱が起こることを想像すればぞっとするだろう。中国もそのような状況は絶対に容認しないだろう。彼らも計算ができるなら、核とICBMの対価を支払う方が安く済むと難なく判断するだろう。

とにかく、ひとまず今は私も選択の余地がない。引き返す退路はない。まずは核ICBMを完成させ、変化した地位でどうするか悩むことにする。認めようが認めまいが、核とICBMは非常に有用に活用できる。これは私の全財産でもある。



周成河 zsh75@donga.com