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スパイ容疑者の海外サーバー電子メール、証拠無効の判決で波紋

スパイ容疑者の海外サーバー電子メール、証拠無効の判決で波紋

Posted July. 17, 2017 09:22,   

Updated July. 17, 2017 09:31

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北朝鮮が送った暗号指令文から発見された中国の電子メールのアカウントとパスワードで確保した電子メールを裁判所が違法な証拠として採択せず、波紋を呼んでいる。公安当局は、「スパイ捜査の現実を分かっていない判決」と反発している。

ソウル高裁刑事12部(洪東基部長判事)は16日、北朝鮮工作員から指令と活動費1万8900ドルを受け取った容疑(国家保安法違反)で拘束・起訴された牧師のキム被告(53)の事件で、キム被告が北朝鮮と交わした電子メールを証拠として認められないとし、一部疑惑に対して無罪を言い渡した。キム被告には1審の懲役4年より軽い懲役3年が言い渡された。過去に統合進歩党などで活動したキム被告は、最終陳述で、「偉大なろうそく革命万歳!偉大な祖国統一万々歳!」と叫んだ。

裁判所が棄却した証拠は、キム被告が中国にサーバーを置く電子メールのアカウントで北朝鮮と交わしたメールの内容だ。国家情報院は、キム被告の車から押収した携帯用USBから暗号化された指令文を発見した。

国家情報院は、指令文に含まれた電子メールのアカウントにアクセスして、キム被告が北朝鮮と交信した事実を確認した。キム被告は2013年7月7日、中国のネットサーバー「シナドットコム(Sina.com)」にアクセスして、北朝鮮の対南工作部署である225局所属の工作員に暗号化された電子メールを送った。キム被告は、「革命的なあいさつをする。(中略)組織は国家情報院の大統領選不正事件でキリスト教系全体対策機構に参加するなど対応事業をしている」と報告した。

裁判所は、「電子メールのアカウントにアクセスできる手段(アカウント、パスワード)を確保したとしても、第3の場所である海外のメールサービス提供者の海外サーバーまで家宅捜索の範囲を広げたことは法的根拠がない」と判断した。また、「大韓民国の司法管轄権が及ばないため、刑事司法協力などの方法で(電子メールの内容を)確保しなければならない」とした。キム被告の電子メールの内容を証拠とするには、中国政府の公式の協力が必要ということだ。

公安当局は、「スパイ捜査をするなということか」と反発している。スパイはたいてい捜査網を潜り抜けるために海外のメールアカウントを使う。キム被告のように北朝鮮に近い国のメールアカウントを使えば、正式の司法協力ではメールの確保が事実上不可能だ。

同じく高裁で正反対の判決が下され、最高裁の判断が注目される。ソウル高裁刑事8部(康承埈部長判事)は5日、いわゆる「ネットカフェスパイ」事件で、「捜査機関が法に則って取得したアカウント情報などで確保した内容は証拠として使える」と判断した。



裵碩俊 eulius@donga.com · 許桐準 hungry@donga.com