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世界征服に乗り出して腐敗した宗教を攻略したチンギス・カン

世界征服に乗り出して腐敗した宗教を攻略したチンギス・カン

Posted July. 01, 2017 08:35,   

Updated July. 01, 2017 08:36

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チンギス・カンと宗教はお互いに似合うテーマだろうか。残忍な征服者というイメージの強いチンギス・カンから宗教的霊性を探すのは、ひょっとして不自然に感じられるかもしれない。この本は、一見関連のないように見える二つの要素を中心に、彼の人生を新たにのぞき見ることで、他のチンギス・カンの評伝とは差別化される。世界20カ国に出版されたベストセラー「チンギス・カーン、眠っている欧州を目覚めさせる」(2005年)を記した著者は20年間、モンゴル帝国研究にこだわったこの分野の権威者だ。

この本の中で私が印象的に読んだのは、チンギス・カンが神の代理人であることを自任して占領地の腐敗した宗教権力を懲罰しようとしたことだ。一見、現代の帝国主義の支配を連想して、強い嫌悪感を先に感じる読者もいるだろう。しかし、宗教が社会統合の中核だった中世社会の特殊性を考慮しなければならない。特にモンゴルが世界攻略に乗り出した13世紀は、欧州のカトリック、中東のイスラム、アジアの仏教・道教・儒教が人々の生活を根本から支配していた。民衆を搾取する腐敗した宗教権力をそのままにしては、広大な領土の多くの民族をきちんと治めることができなかった。

腐敗していない正常な宗教に対しては、広範囲な信仰の自由を保障した。彼は戦場に出ても、夜になると様々な宗教の聖職者たちを呼んで、講論を乞って聞いた。著者は、米国建国の父たちがチンギス・カンを研究する過程で、「宗教の自由」を憲法に規定するために少なくない影響を受けたと言う。

モンゴル軍が各国の宗教中心地を攻略するために力を注いだのは、華やかな宝物を略奪しようとする目的ももちろんあった。しかし、彼らはそこで終わらず、限られた軍事資源を動員して、宗教的象徴物を徹底的に破壊した。その代わり、占領地内の治安を確立した後、道路、港湾などのインフラを建設し、税金を引き下げた。著者は、「モンゴルは(占領地で)狂信的宗教の束縛を打ち砕くことで、前例のないグローバル繁栄時代を切り開いた」と書いた。



金相雲 sukim@donga.com