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「コンクール女王」と「伴奏の王」が繰り広げた幻の舞台

「コンクール女王」と「伴奏の王」が繰り広げた幻の舞台

Posted June. 26, 2017 08:54,   

Updated June. 26, 2017 08:54

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「うわ!」

18日、ソウル芸術の殿堂コンサートホールで開かれたソプラノ「ファン・スミ」(31)とオーストリア出身ピアニスト「ヘルムート・ドイチュ」(72)のデュオステージ。花柄のドレスを着たファン・スミがアンコール曲を歌う途中、興じてくるりとステージを一回りした。客席のあちこちから嘆声が上がってきた。声楽リサイタルの途中に感嘆詞が出てくることはあまりない。公演後、ファン・スミは「もっと回りたかったが残念だ」と話した。

今回の公演は、ファン・スミと「声楽伴奏の王」と呼ばれるドイチュの2年ぶりの国内舞台であり、ブラームス、ブリテン、リスト、シュトラウスなどの歌が舞台に上がった。特にファン・スミは、ドイチュが推薦したブリテンの歌を上手にこなし、爛熟した才能を見せた。

ファン・スミは2014年、世界3大声楽コンクールと言われているエリザベス王妃国際コンクールで首位となり、注目を浴びた。当時の審査委員の一人がドイチュである。ヨナス・カウフマン、イアン・ボストリッジ、ディアナ・ダムラウ、マティアス・ゲルネなど、世界最高の声楽家たちの伴奏を務めた大物ピアニストだ。

2013年、イタリアで開催されたマスタークラスでファン・スミに初めて会った彼は、コンクールが終わった後、電子メールで先にラブコールを送った。以来、彼は2015年のソウル公演をはじめ、ロンドンのウィグモア・ホールなど、欧州主要公演でファン・スミの伴奏者となった。

「東洋人のミュージシャンたちは感情表現を恐れるが、ファン・スミは自分が感じて表現したいことを正確に伝えますね。発展を続ける姿も印象的です」(ドイチェ)

「先生から『もう君はパートナーだ』と言われたとき、本当に嬉しかったんです。ドイツ語にも尊称があるのに、気軽にぞんざいな言葉を使うように言われました。慣れるまで少し時間がかかりましたね。ほほ」(ファン・スミ)

ファン・スミは20014年から、ドイツのボンオペラ劇場のソリストとして活動している。ソリスト15人のうちソプラノはファン・スミを含めて3人だけだ。オペラ「魔笛」のパミーナ役でデビューした後、トゥーランドット、リナルドなどの作品で、様々な役を演じてきた。

「役を演じるのに、東洋人だからといって限界があると感じたことはありません。魔笛はドイツ人が台本を丸ごと覚えるほど、よく知られている作品だが、主人公を演じることになり光栄でした。今後も良い役柄を任せてもらうために頑張らなければなりません」

氏は8月から、英国で開かれるフェスティバルに参加するなど、今年も欧州で多忙な日々を送る計画だ。これまで、リサイタルだけで国内観客の前に立った彼女は、これからはオペラで観客に会いたいという願いをほのめかした

「エリザベス王妃国際コンクールでの優勝で、私の名前を覚えて下さる方々が多いですね。良いことだと思いますが、コンクール優勝者のタイトルを超えるのが課題です。今後がさらに期待される声楽家として記憶されたいと思います」



金東昱 creating@donga.com