21日、イラク政府軍と米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ISはイラク軍がモスルの主要部分を掌握して近づいた段階で、モスクを爆破した。イラク政府軍のブドゥラミル・ヤララ中将は、「政府軍がモスル市街地からモスクまで約50メートル進撃した段階で、ISがモスクを爆破した」とし、「ISがさらなる歴史的罪を犯した」と主張した。
ISが、シリアのラッカと共に代表拠点としたモスルがイラク軍に渡ることを快く思わず、退き際にヴァンダリズム(芸術品・遺跡の破壊行為)を行って最後のあがきをしていると見られている。
イラク政府は、モスルを奪還すればヌーリ・モスクで奪還・勝利記念行事を行う予定だったという。それだけ宗教的意味が大きく、イラク内で象徴性の強い場所だった。
ISも、このモスクで2014年6月に「カリフ国家」樹立を宣言した。ISの最高指導者で、最近行方不明で死亡説が起こっているアブバクル・バグダディ容疑者も当時、宣言に参加した。
これまでISは、偶像崇拝と異教徒の文化という理由でモスルの多くの文化財を破壊した。代表的なキリスト教遺跡「預言者ヨナの墓」や「聖エリヤ修道院」をはじめモスル博物館に保存されていた多くの古代石像や彫刻を破壊した。破壊行為を映像や写真で伝えたりもした。
しかし、ヌーリ・モスクはISが信じるイスラム教の古代施設であるため、衝撃を与えている。モスクの破壊がISの戦闘員の確保と占領地住民の心をつかむうえで悪影響になると見られている。
ヌーリ・モスクの破壊に対する国際社会の非難が高まると、ISは宣伝メディア「アマク通信」を通じて、「米軍の爆撃機の攻撃でモスクが破壊された」と主張した。
ISが、モスルなどの占領地域で戦況が悪化すると、住民の脱出を阻止するために子供を殺害しているという主張も起きている。ユニセフのイラク事務所は、ISが最近、占領地から脱出しようとする家族を捕まえた場合、子供を殺すやり方で恐怖を与えていると説明した。
李世亨 turtle@donga.com