ロンドンにはこんなことわざがある。「バス1台を長く待っていたら2台に同時にやってっ来た」。
今の孫興民はロンドナー(Londoner)だ。雨が降ってしっとりと濡れた夜、孫興民は2ゴールとともに現れた。まるで、あのバスのようにだ。
孫興民は、このゴールで欧州リーグで1シーズンに20得点以上を挙げた初の韓国人になっただけでなく、初のアジア人になった。
1点目は美しかったし、2点目は大胆さそのものだった。自信が漲る孫興民、いやソニー(英国人たちは彼のことをこう呼ぶ)は極めて精巧なタッチとタイミングを見せてくれた。
孫興民は会場に光をともした。チームへの所属感と試合に対する素直な楽しみを込めてトッテナムのロッカールームを明るくしてきたのと同じようにだ。
彼がチャブム(車範根)の後継ぎになるだろうと予見した全ての人たちへの敬意を。アルゼンチン出身のポチェッティーノ監督監督は、その栄光を一緒に分けても良いだろう。1882年に創設されたトッテナムを、この60年間で最も素晴らしいチームに作り上げた監督は、孫興民も見事に成長させた。
孫興民は今シーズンを控えてポチェッティーノ監督の部屋のドアを叩いた。孫興民は、「自分を交代選手で使うつもりなら、一層のこと他チームにレンタルしてほしい」と要求するほど大胆だった。孫興民は出場機会を渇望していた。彼は容赦なく、熱くぶつかり合うイングランドのサッカーと向き合いたいとしていた。
ポチェッティーノ監督の心は動じた。羽が生えたばかりの若い選手に飛び上がる準備ができていることに気づいたのだ。そうだ。スピード、動き、執拗さを強調するポチェッティーノ監督には、すでにリーグ最高の点取り屋、ハリー・ケインと英国の新星デリ・アリがいた。
しかしポチェッティーノ監督は、孫興民はじめ3人の選手をFCバルセロナのリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールのような「三角編隊」に作る構想を練った。
冗談じゃないと?孫興民が2ゴールを決め、トッテナムの3人組は今季にそれぞれ20得点を挙げた。ケインは32得点、孫興民とアリは21得点だ。このチームの歴史で、1シーズンに攻撃陣の3人が、それぞれ20得点以上を挙げたのは初めてのことだ。98に上るイングランドのプロチームの中でも唯一の記録だ。
しかし3人のうち、あなたが絶対に注目すべきは孫興民だ。24歳の孫興民は、イングランドサッカーに新しいものを感じさせている。ポチェッティーノ監督は才能豊かな孫興民を多様なポジションで起用している。
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