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バイオリン名器「ストラディバリウス」の屈辱

バイオリン名器「ストラディバリウス」の屈辱

Posted May. 09, 2017 08:52,   

Updated May. 09, 2017 08:52

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数百年の歴史を持つ高級バイオリンの音は、現代楽器と本当に違うのだろうか。17世紀に生まれたイタリア職人、アントニオ・ストラディバリが作った「ストラディバリウス(写真)」は、現代楽器とは違って、全音域の音がバランスを成している上、音量が大きく音色が鋭く音がよく広がることで知られている。世界の名器と言われる理由だ。ところが最近、演奏者聴衆共に、古いストラディバリウスより現代の新しいバイオリンの音が好まれることが分かった。

フランスのピエール・マリー・キュリー大学(パリ第6大学)ジャンルロングダルランベル研究所のクラウディア・フリッツ教授チームは、ストラディバリウス3台と新しいバイオリン3台とを対象にしたブラインドテストの結果を、国際学術誌「米国科学アカデミー会報(PNAS)」の8日付に発表した。フリッツ教授は、「大半の人たちはストラディバリウスと新しいバイオリンとの音を区別できなかったし、新しいバイオリンの音がより豊かで聞きやすかったと答えた」と語った。弦楽器は300~400年後に真価を発揮するという既存の定説を覆す結果だ。ストラディバリウスは現在、世界で約650台残っている。

研究チームは、フランス・パリにある300席規模の音楽ホールと、米ニューヨークにある860席規模の音楽ホールで、それぞれ音楽に見識がある聴衆55人と82人を対象に実験を行った。6台のバイオリンのうち、ランダムに2台を選んで聞かせた後、どの楽器の音がどれほど聞きやすく(調音と音色)、どれだけよりよく響くか(音響放射度)を調査した。演奏はイ・ジア、スーザン・ハウ、成田達輝など7人の世界的バイオリニストが引き受けた。演奏者たちも同様に、眼帯を着用して楽器を区別できないようにした。

調査の結果、オーケストラの演奏が一緒に添えられても、そうでなくても聴衆は、ストラディバリウスより新しいバイオリンの音響放射度がさらに優れていると評価した。



송경은 ソン・ギョンウン記者 kyungeun@donga.com