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大統領の孤独

Posted April. 27, 2017 08:36,   

Updated April. 27, 2017 08:37

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大韓民国大統領の任期前半は、大統領と一緒に昼食や夕食を希望する人たちが殺到し、秘書室がそれに対応するため冷や汗を流す。政権4年目を超えると、もう大統領が誰誰を呼ぶように指示しなければならないほど閑散となる。そのときに招待されてくる客らも、口がとがらしているという。「権力の強かった時は呼ばなかったのに、今更呼ぶなんて…」。金泳三(キム・ヨンサム)元大統領も政権末期、「夕方、引き潮がひくように人たちが離れてしまった青瓦台の広い官邸に、老夫婦だけが残っていると寂しさが潮のように押し寄せてくる」と語った言葉が伝えられる。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府で大統領政策室長を務めた国民(クンミン)大学の金秉準(キム・ビョンジュン)教授が、大統領の周辺を道路に例えた。「政権初期は、こっちに向かって走ってくる車だけが見える。自分を見てほしいとクラクションまで鳴らす。中盤に入ると、来る車もあり、離れる車も目立つ。任期末になると、すべてが離れる車ばかりだ。もしかしたらつかまるのではと、アクセルを精一杯踏んだことで逃げる車も少なくない」。盧元大統領が政権末に、自分だけが語り、何ら討論のなかった青瓦台での会議を終えた後、このように嘆いたほどだから。「今日もワンマンショーだったね」

◆陰の実力者「崔順実(チェ・スンシル)」被告の常連の整形外科医だったキム・ヨンジェ院長の妻「パク・チェユン」被告が25日、法廷で、「朴槿恵(パク・グンヘ)前大統領はとても寂しがっていた」と証言した。大統領府に出入りしながら、朴元大統領の個人的悩みなどを分かちあい、官邸の寝室に入って会話もしたという。朴元大統領が「一人で食事」をする理由について、「両親を亡くした後、消化器官がよくなかったので、ご飯をあまり食べられない」と説明したともいう。「国民の皆さんが家族であり、仕事のために寂しい暇などない」という朴前大統領の言葉は、限りなく寂しいという意味だったと受け止めるべきだったのではないかと思う。

◆大統領も寂しい時がある。しかし、大統領の孤独とそれによる情緒不安は、国政に直接影響を及ぼす。大統領が誰彼無しに労いや慰めを受けようとしたら、国政は駄目になってしまう。私たちは、その弊害を複数の大統領から見てきた。国家と国民の命運を左右する決定を下す大統領は、国政能力に劣らないほど、情緒的安定感が欠かせない。まもなく新しい大統領を選ぶことになる有権者に、皆が注意してほしい。