アルノー会長は25日、ディオールの持分100%買収を決定し、33年前に始まったブランド品帝王の夢を完成させた。LVMHは同日、ディオールの持分25.9%を121億ユーロ(約14兆8800億ウォン)で買収したと公式発表した。既存に74.1%のディオール株を持っていたLVMHが、残りの株まで買い入れたことで、これまで所有していた化粧品・香水事業だけでなく、バッグ・衣類などを製造するクチュール株まで完全に手にできるようになった。ディオール持分の追加買い入れにより、アルノー一家のLVMHの持分は36%から46%に増えた。
アルノー会長は特に、ディオール買収代金を現金とエルメス持分で出す予定である。彼は2000年代に入って、自分の最大のライバルであるエルメスへの敵対的買収を進めてきた。6代目が家業を引き継いでいたエルメスは、家族をすべて集めて所有権防御に乗り出した。2011年、エルメスのパトリック・トマ最高経営責任者は、「美しい女性を誘惑しようとするときは、後ろから襲って強姦などしない」と、アルノー会長の行動を激しく批判したことがある。あのアルノー会長が、ライバルであるエルメスの買収を断念して、「実家」ともいえるディオールの株式を購入したのだ。
買収のニュースが発表されると、25日、欧州株式市場でディオールの株価は11%高騰し、LVMHの株価も3.94%上昇した。25日、フォーブスによると、フランスの最高富豪であるアルノー会長の財産は510億ドル(約57兆6300億ウォン)に増え、世界8位の金持ちになった。
68歳のアルノー会長は、当面、経営の一線から退く計画はない。氏はフランス政界とも密接な関係を持っている。1981年、企業に敵対的な社会党のミッテラン政権が発足すると、米国にしばらく離れていたし、2011年、社会党のフランソワ・オランド政府から富裕税を出すようにプレッシャーを受けると、ベルギー国籍の取得を試みたりもした。右派のニコラ・サルコジ元大統領とは親しい間柄だ。今回の大統領選挙では、企業に友好なエマニュエル・マクロン候補を支持している。
董正民 ditto@donga.com