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贋作製作はカネのため?偽造犯を刺激するのは「復讐心」

贋作製作はカネのため?偽造犯を刺激するのは「復讐心」

Posted February. 18, 2017 08:38,   

Updated February. 18, 2017 08:39

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もちろん、芸術は模倣から始まる。弟子は師匠の作品をコピーしながら学ぶ。プラド美術館の「モナリザ」の模作を詳しく分析したところ、何回も修正されたスケッチが描かれていた。完成された本物の構図を一度でコピーしたならなかったはずのスケッチだった。レオナルド・ダ・ヴィンチの見習い、あるいは助手が、完成する前にスケッチから見てコピーした絵画だという証拠だ。ルネッサンス時代は、見習いや助手らが工房で一緒に寝食を共にしながら、師匠の作品を一緒に制作した。詐欺ではないという意味だ。

贋作とは、特定の作品をコピーして、本物の作品かのように化けさせるものだ。当然、実力や技術は尋常ではない。根拠になるだけの古文書も、偽物を作って差しはさむ。

金のために美術品を偽造するのだろうか?美術犯罪分野の専門家である著者は、偽造犯を刺激するのは、お金よりは「復讐心」だと分析している。偽造犯たちはそのほとんどが、自分の作品の価値に気付いてもらえない美術界に復讐するため、自分の実力を証明するために偽造する。専門家らを騙すことで、彼らの欲望が満たされる。

ヘンリクス・アントニウス・ファン・メーヘレン(1889~1947)がそうだった。好評も、観客の関心も受けられなかった彼は、オランダの画家「フェルメール」の作品を偽造し始めた。腕前を誇示するだけの贋作を作って、批評家たちの無知を暴露するという狙いだった。実際、17世紀のオランダ絵画の権威者「ブレディウス」は、メーヘレンの贋作を見て、「フェルメールの初期美術から消えた偉大な作品だ」と評した。メーヘレンの偽造行為は、ひょんなことから発覚した。メーヘレンは、フェルメールの「キリストと姦淫女」をナチスの首長ヘルマン・ゲーリングに売り渡した容疑で起訴された。死刑を避けるため、メ-ヘレンは、自分が偽造したものだと弁論しなければならなかった。

何よりも、贋作という重大犯罪を抑制するために、著者は、まず買い手が知識を備えるべきだということ、そして作品販売とは利害関係のない専門出所調査員制度があるべきだと主張している。贋作であることが明らかになったのに贋作に好奇心をもって大事に眺める大衆の認識が、贋作をあおるという。



金志映 kimjy@donga.com