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[オピニオン]英語ディバイドと漢字格差

[オピニオン]英語ディバイドと漢字格差

Posted November. 25, 2016 08:22,   

Updated November. 25, 2016 08:25

한국어

日本の大阪に旅行に行ったときの出来事だった。タクシーを拾って、行き先を「大阪キャッスル(castle)」と何度言っても、運転手は首をかしげるばかりだった。しかたなく「城」の字を紙に書いて突き出すと、すぐ「あ!大阪城」と分かってもらえた。基本的な教養として漢字を覚えておけば、同じ漢字文化圏である日本や中国に訪ねたときに便利だ。

◆韓国語学文学政策は、光復(日本植民地からの独立)後、国語漢文混用とハングル専用との間で行きつ戻りつを繰り返した。そのため、小中高校時代に漢字教育を受けて漢字になじんでいる世代と、「漢字文盲」に近い世代とに分けられる。2005年、国語基本法の実施を受け、教科書や公文書はハングルで書くように義務付けられ、漢字教育は必須科目から外された。2012年、この法は違憲だと主張して、保護者や大学教授など333人が、憲法訴願を提起した。昨日、小中教育過程で漢字を選択科目に定めた教育部の公示は憲法に反していないという憲法裁判所の決定が出た。裁判官5人が合憲、4人が違憲の意見を出した。

◆憲法裁判所の判断が出たからといって、漢字教育を巡る勢力争いが下火になるはずがない。漢字教育義務化に拒否感を持っている人たちは、今のように中学で教えても十分なのに、小学校時代から漢字による学業ストレスを抱かせる理由などないと主張する。賛成側では、漢字は中国だけのものではなく、ハングルと共に国の文字であるだけに、韓国語教育のためにも漢字学習は絶対必要だという論旨を展開する。

◆英語実力が社会的身分や収入を決めるという「英語ディバイド(英語格差)」という言葉が、一時はやった。時代が変わって、中国が経済大国に浮上したことを受け、中国語が英語に取って代わって「チャイニーズディバイド(中国語格差)」という言葉も出ている。漢字公教育が遅れることになれば、低所得層の子供だけが被害を受けるという声も出ている。欧米でも富裕層は、子供の漢字や中国語教育に関心を注いでいる。ドナルド・トランプ次期米大統領の孫娘が、小学校に入る前にすでに唐の詩をすらすらとそらんじたのと同じように。いつ漢字を覚えても、「漢字ディバイド」現象という言葉が出ないように、公教育がきちんと責任を取らなければならない。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com