吟遊詩人という意味の「イル・トロヴァトーレ」は、中世騎士の人生を素材にしたスペインの同名戯曲が土台だ。15世紀のスペインを舞台に領主の迫害を受けるジプシー女性の壮絶な復讐、領主の美しい侍女と吟遊詩人の愛と悲劇を描いた。1853年1月19日にイタリア・ローマのアポロ劇場で初めて上演された。
この作品は4人の主役の歌手に多くの力とテクニックを要求するため、役を十分にこなす出演陣を構成することが容易でない。そのためこれまで国内ではヴェルディの別の人気作品に比べて公演回数が少なかった。「鍛冶屋の合唱」、「見よ、恐ろしい炎を」、「恋は薔薇色の翼に乗って」など有名なアリアと合唱曲は単独で舞台上演されることが多い。
今回の舞台は、イタリア・ヴェネツィアのフェニーチェ劇場、パルマ王立歌劇場、ソルオペラ団が共同製作した。
1837年に建てられたフェニーチェ劇場は、ヴェルディがこの劇場を念頭に置いて「椿姫」を作曲したと言うほどヴェルディと縁が深い。パルマ王立歌劇場は1829年に建設され、イタリアのオペラ復興を牽引した劇場であり、2003年から毎年1ヵ月間、ヴェルディ・フェスティバルが開かれる。
今回の舞台は、2つの劇場が公演した舞台と衣装だけでなく、声楽家、演出陣、技術陣までやって来る。スカラ座やローマ・オペラ歌劇場で活動する最高級の声楽家、ソプラノのフィオレンツァ・チェドリンス(レオノーラ役)とバリトンのエリア・ファッビアン(ルーナ伯爵役)らが舞台に上がる。アンドレア・ボチェッリのオペラデビュー作品を演出したロレンツォ・マリアーニが演出を務め、世界的なオペラ・フェスティバルで指揮者として出演したジャンルカ・マルティネンギが指揮棒を振る。ソルオペラ団のイ・ソヨン団長は、「2つの劇場の公演の長所を混ぜて優れた組み合わせにした」と話した。3万~25万ウォン。1544-9373
キム・ドンウク記者 기자creating@donga.com