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[オピニオン]金英蘭法の第1号裁判

Posted October. 20, 2016 07:23,   

Updated October. 20, 2016 07:36

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2010年、米国での研修時に、小学生だった娘の担任は1990年に韓国で放送された子供ドラマ「天使たちの合唱(CARRUSEL)」のヒメナ先生にそっくりだった。担任は、娘が日記をつけると、いつも下の余白に日記並みの長いコメントを書いてくれた。私たち夫婦は、あの担任に保護者相談期間中は20ドルものコーヒークーポンをプレゼントした。断られるかと心配したが、うちのヒメナ先生は、あまりにも明るく笑いながらそれを受け取った。言葉通りのプレゼントだったからだ。

◆英紙「エコノミスト」は、「腐敗のエチケット」という企画物の中で、腐敗した国には賄賂を呼ぶ隠語が発達しており、わいろを渡すときは茶色の封筒を使うきらいがあると分析したことがある。純粋なプレゼントなら、別の名称をつける理由も、内容物を隠す理由もない。韓国でも賄賂を「餅代」や「急行料」と呼んで、金額が分からないように封筒や化粧箱入りの飲み物を使った。経済協力開発機構(OECD)の腐敗度合いの評価で、韓国が9位につけられたのは恥ずかしいことだが、それなりの理由があるのだろう。

◆春川(チュンチョン)警察署は一昨日、告訴人のA氏(55)が捜査官に対し、4万5000ウォンの箱入り餅を送ったことを、「不正請託及び金品などの授受禁止に関する法律」(金英蘭法)違反とみて、裁判所に罰金を科すよう依頼した。先月28日の法施行後、裁判にかけられた初事例となる。餅を受け取った後、事件の受理まで20日間がかかったので、警察でも相当悩んでいたらしい。A氏は、捜査官が個人の都合を考慮して、取調べ時間を変えてくれたことがありがたかったという。しかし、取調べ時間は告訴人が希望すればいつでも調整が可能だ。当然なことに謝意を表したのは、かつては役所の敷居がそれだけ高かったことを意味する。

◆国民の反応は、「些細なことで裁判まで受けさせるのはやりすぎだ」という意見と、「小さいことから守るべきだ」という意見に分かれている。巨額の餅代ではなく、事後に本物の餅を渡したことが、金英蘭(キム・ヨンラン)法の第1号裁判の対象になった。贈賄側と収賄側とが共謀する大規模な腐敗は、内密で組織的だ。法が、「些細な人情」とも受け取れる「小物」ばかりを捕まえたのでは、腐敗との戦いで勝つことは難しい。

洪守鏞(ホン・スヨン) legman@donga.com