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韓国人ゲノムを精密分析、適合型薬の開発の道が開けた

韓国人ゲノムを精密分析、適合型薬の開発の道が開けた

Posted October. 06, 2016 08:35,   

Updated October. 06, 2016 08:50

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「ヒトゲノムプロジェクト」。

一時、世界をにぎわしたヒトゲノム分析プロジェクトだ。2000年、国際共同研究チームが白人1人のゲノムを分析してこのプロジェクトを開始後、2013年に20番目にアップデートされたゲノム標準地図「GRCh38」が登場する時まで、韓国人を含むアジア人のゲノムは一人も反映されなかった。このように理由のため、研究者らは新薬を開発したり、病気について研究する時、アジア人の遺伝的情報を十分考慮することができなかった。

この問題を国内研究チームが解決した。ソウル大学医学部の徐廷瑄(ソ・ジョンソン)ゲノム医学研究所長研究チームは最近、ゲノム分析技術を活用して、韓国人1人のゲノム地図「AK1」を完成した。この研究結果は6日付の国際学術誌「ネイチャー」に掲載された。

徐所長の研究チームは2009年もAK1を作ったことがあるが、当時は標準ゲノム地図だった「RCh37」と対照して、その序列と似ているものだけを選んで発表した。分析技術が完全でなく、標準ゲノムと似ているものだけがきちんと分析されたと確信できたからだ。

一方、7年が過ぎた今、研究チームは、別のゲノム地図を参考する必要のない最新技術を使って、完全な分析結果をまとめた。研究チームは今回の研究で、一度に1万5000個の遺伝情報を読み込むことのできる「ロングリードシーケンシング」技術を使った。一度に遺伝子序列150個を読むことのできた従来技術に比べ、分析スピードを高めたものだ。また、この方法を使うことで、一度に分析された遺伝子序列を繋ぎ合わせる過程で起きるミスも減った。一度読み込んだゲノム情報をつなげる過程においても、多くのミスが発生するので、一度に読み込む遺伝情報の範囲を拡大するほどミスも減った。

研究チームは、その結果、これまで明らかにされなかったゲノム構造190個の55%に当たる105個の構造を解明し、ゲノム地図の精度を高めることができた。部分的に解明された72個の構造まで合計すれば、解明できなかった部分の93%を明らかにしたことになる。

今回の研究は、特に韓国人ならではの遺伝的特徴を具体的に突き止めた。研究チームは、ゲノム分析結果を標準ゲノム地図と比較した結果、1万8210個が異なっていることを突き止めた。そのうち7710個は、韓国人だけが持っている構造であり、3465個は標準ゲノム地図にのみあるものだった。このような違いは今後、韓国人を含め、アジア人の遺伝的特徴を解明するのに役立つものとみられる。

研究チームは共同研究のため、2月、ゲノム分析プロジェクト「ゲノムアジア100Kイニシアチブ」を発足させた。ソウル大学医学部ゲノム医学研究所と生命工学ベンチャー企業「マイクロジェン」が行う大規模プロジェクトであり、アジア19か国が参加している。今回の研究結果も、「ゲノムアジア100Kイニシアチブ」の一つといえる。研究チームはこの技術を活用して、来年まで1万人、3年後まで10万人のアジア人ゲノム情報を分析する計画だ。

徐所長は、「アジア各国と民族別標準ゲノムを構築して、国際共同研究プロジェクトで韓国が技術的主導権を先取りすることができるよう努力していきたい」と語った。



신수빈 シン・スビン東亜サイエンス記者 동아사이언스기자sbshin@donga.com