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元国際戦犯裁判所副所長が論文点数不足で講壇に立てない

元国際戦犯裁判所副所長が論文点数不足で講壇に立てない

Posted October. 03, 2016 08:19,   

Updated October. 03, 2016 09:09

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「40年近くも裁判官として築いてきた経験を未来の法曹人養成のために使いたいと思っていたが、大変残念だと思います」

旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)副所長出身で、キムアンドチャン法律事務所国際法研究所所長を務める権五坤(クォン・オゴン)氏(63=司法研修院9期、写真)は2日、東亜(トンア)日報との電話インタビューで、このように残念な気持ちを明らかにした。権所長は、ソウルのとある私立大学法学専門大学院(ロースクール)から、2016年9月から招聘碩座教授の資格で国際刑事報講義を担当してほしいと提案を受けたが、開講を目前にして、いきなり大学のほうから「講義不可」方針の通知を受けた。講義時間も決まり、学生たちから受講申請まで受け付けていたが、大韓弁護士協会法学専門大学院評価委員会(評価委)が、「論文点数未達」を理由に権所長に対して「講義不適合」判定を下したからだ。

ロースクール評価委は、「ロースクールの教育・組織・運営及び施設などを評価」するための組織だ。ロースクール評価のための評価手法の開発や評価基準の樹立なども評価委が手掛けている。評価委は、ロースクールで講義するためには、この5年間の論文を評価して、総点が150点以上でなければならないと定めている。論文が掲載された学術誌によって、差をつけて点数が付けられる。評価委基準による権所長の論文点数は80点に止まっている。

権所長は1979年、ソウル民事地裁で裁判官生活を始め、2001年、韓国人初のICTYの裁判官に選出された。2008~2012年、ICTY副所長を務めるなど、今年3月まで15年間働いてきた。ボスニア内戦当時、イスラム系大量虐殺を主導して「バルカンの虐殺者」と言われているセルビアのスロボダン・ミロシェヴィッチ元大統領やセルビア系指導者「ラドヴァン・カラジッチ」事件の裁判長を担当したりもした。このような経験で、権所長は国内外で国際刑事報の「ベテラン」と評価されているが、このような実務経験は全く反映されなかった。

権所長を国際刑事報講義の適任者だと思って、授業を提案した学校側も、弁協評価委の決定によって、「論文点数の基準が不合理なことは知っているが、一人の教員でもその基準に合致しなければ、学校全体が基準に達しないものとみなされるため、現実ではやむをえなかった」とし、権所長に「授業不可」方針を伝えた。そのため、権所長は、「機械的に論文に点数をつけて授業可能如何を判断する方法は、やや硬直された制度と思われる」と残念な気持ちを表した。

法曹界の一部からは、硬直された教員任用及び評価制度により、理論と実務を兼ね備えた法曹人たちが講壇に立つチャンスを失っているという指摘も出ている。これについて、大韓弁協の関係者は、「特定人のために例外条項を設けるのは難しいが、ロースクールの任用評価制度に問題点はないか突き詰めて、改善策を検討していきたい」と明らかにした。



권오혁기자 クォン・オヒョク記者 hyuk@donga.com