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[オピニオン]「光工場」の放射光加速器

[オピニオン]「光工場」の放射光加速器

Posted October. 01, 2016 09:20,   

Updated October. 01, 2016 09:21

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7月初頭、 欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)が位置しているスイス国境地帯の空が紫色に変わり、雲から強い渦巻きが発生した。人々は、CERNの粒子衝突実験途中、並行宇宙に向かう出入口が開かれたのではないかとささやかれた。この実験を行った機関は、ほかならぬ大型ハドロン衝突型加速器(LHC=Large Hadron Collider)。LHCは27キロに及ぶ楕円型トンネルのとある地点から両方に向け2つの陽子を放ち、光の速度に加速させた後、衝突させてその粒子を観察する。理論上だけで存在していたヒッグス粒子を発見したところがここだ。

◆放射光加速器も、LHCと原理は似ている。ただ、中性子を衝突させるのではなく、電子を光の速度である30万キロにまで加速させて、様々な光を手にするのが目的だ。太陽より100京(1京は10の18乗)倍も強烈で、波長(0.1ナノメートル、1ナノメートルは10億分の1メートル)の短いこの光を放射光という。そのため、放射光加速器は「光の工場」と呼ばれている。光の工場はなぜ必要だろうか。極めて短い瞬間に細胞や原子などの極めて小さな世界を見るためだ。

◆1994年に完成した浦項(ポハン)第3世代放射光加速器が、科学技術の発展にもたらした成果は数えきれないほど多い。ウイルスのタンパク質構造、ナノ物質や新薬の原子結合状態の解明はもとより、超小型ロボットまで製作できる。国内外有名学術誌に発表される研究者らの論文は、量的質的に急上昇した。産業界の需要も増えて、三星(サムスン)電子は、光通信半導体素子の欠陥をここから見つけた。

◆第4世代放射光加速器を持っている国は、米国や日本についで韓国が3番目だ。第4世代事業のアイデアは、ポステクから先に出たが、予算配分がなかなか進まないうちに、日本に先手を取られた。第4世代事業は、廬武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が約束したが守られなかったし、李明博(イ・ミョンバク)政府では「兄貴予算」という皮肉の中で予算が可決された。9月29日の事業完成式典で、朴槿恵(パク・グンヘ)大統領がにっこりと笑っている姿を目にし、万感の思いがする。国家競争力を主導する科学革命には、イデオロギーを離れて政権を超える国家的意志が必要だ。

鄭星姬(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com