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[オピニオン]地下生活

Posted September. 24, 2016 08:31,   

Updated September. 24, 2016 09:00

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詩人「金芝河(キム・ジハ)」の本名は金英一(キム・ヨンイル)だ。芝河とは、彼が22歳のごろ、自ら名付けた筆名だ。青臭い大学生だった彼が、ソウル東崇洞(トンスンドン)にある學林(ハクリム)喫茶店で詩画展を開いた時、同名異人の文士たちを意識して名前を変える必要性を感じた。ある日、昼酒に酔って学林喫茶店に向かって歩いていた時、「地下喫茶」、「地下床屋」などの看板が次々と目に付くと、「そうだ、これだぞ!」と決めた。しかし、筆名の呪いとでもいおうか。彼はペン一つで独裁政権と戦ったため、30数年間、おぞましい地下時代を経験することになる。

◆素手一つの社会新人や新婚夫婦たちは、場末の地下の一間の部屋で新しい出発をすることがよくある。少しの金が貯まれば、窓の外を行き来する人たちの足の見える半地下部屋へとレベル(?)が上がる。暗くて湿っぽくて、カビと埃にこれ以上耐えられなくなると、屋上部屋に垂直上昇する。同じ地下でも、アジア最大の地下ショッピング空間と言われているコエックスモールは、空気ががらりと違っている。屋内照明のために明るくて涼しく、外の天気とは関係なく一年中ショッピングを楽しむことができる。

◆北朝鮮の平壌(ピョンヤン)地下鉄は、核攻撃に備えて、地下100~150メートルを走っている。単なる交通手段ではなく、地下の軍事用施設とつながっている「超大型バンカー」としても機能している。地下鉄から150メートルほどさらに下ると、平壌を蜘蛛の巣のようにつなぐ地下トンネルがあると、生前の黄長燁(ファン・ジャンヨブ)元労働党書記が証言した。平壌から約40キロ離れた子母山(ジャモサン)まで続くこの地下トンネルの中で、きれいな湧き水や青い草を見たというから、北朝鮮の首脳部は有事の際は、何日間も地下で耐えることができる気がする。

◆ソウル市が2020~2025年、市庁駅と光化門(クァンファムン)駅との間を地下でつなぎ、周辺のビルの地下ともつなげて、サッカースタジアム4個分の地下都市を完成するという構想を明らかにした。カナダのモントリオールには寒波を避けるための「アンダーグラウンドシティ」があり、米ニューヨークには捨てられた電車のターミナルの地下を公園に作る「ローラインプロジェクト」が進められている。貧しい個人が耐える地下生活は過酷かもしれないが、資本や権力は、陰湿な地下を安穏な空間に変える能力を持っている。

異鎭(イ・ジン)論説委員 leej@donga.com