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[オピニオン]「誤答ノート」のMERS白書

[オピニオン]「誤答ノート」のMERS白書

Posted July. 30, 2016 07:12,   

Updated July. 30, 2016 07:28

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昨年5月20日、MERS(中東呼吸器症候群)の最初の確定判定患者が出た後、12月に終息宣言をする時まで、患者186人が発生し、38人が命を落とした。「ラクダの肉やラクダ乳を食べないこと」などを予防法と広報した政府の安易な対応が、取り返しのつかない混乱を招いた。ハリウッド「災害映画」の一シーンのように、韓国の日常を恐怖が抑えつけた。

◆保健福祉部(福祉部)が217日間の対応過程についての記録や評価を盛り込んだ「2015、MERS白書:MERSから教訓を得た!」を昨日発刊した。「事実上の終息」(昨年7月28日)宣言後1年ぶりのことだ。480ページ余りの白書は、リーダーシップの不在やずさんな防疫体系を改めて確認させている。「疾病を統制する過程で、全ての責任を負って率いるだけのリーダーシップを示した人は誰もいなかった」、「仕事のできる人はいないのに、報告を急き立てるところは多かった」、他人のせいにしたことも少なくなかった。「自治体の独自的行動でワンボイス(one-voice)の原則が崩れた」とし、ソウル市に混乱の責任を転嫁したくだりもある。

◆MERS終息と関連して、世界保健機関(WHO)基準と違って、早期終息のために「政務的判断」を議論したという内容も盛り込まれている。基本を守らず、膨大な犠牲を払ったのに、依然正気でなかった人たちがいたのだ。大きな出来事が起きれば、御多分に漏れず、政府の人材や組織構造の強化などの対策が取り上げられる。白書の中でも、今年1月、次官級機関から格上げされた疾病管理本部を疾病管理庁に独立させることを中心に、福祉部に「医療機関感染管理局」の新設、長期的には「地方公衆保健庁」拡大の提言を行った。

◆それならMERS事態の責任は?監査院の監査で停職以上の重い処分を受けた人は、実務級の9人がすべてだ。辞任した文亨杓(ムン・ヒョンピョ)元福祉部長官は昨年末、国民年金公団の理事長に任命された。「MERS白書」を発刊した日、福祉部はMERS治療や防疫に貢献した40人に対し、表彰を行った。骨身に染みる反省をしても足りないはずなのに、片方では賞賛リレーをつづけたことになる。誤答ノート(白書)でもきちんと作ってこそ、同じミスを繰り返さないはずなのに…。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com