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受賞した建築が必ずしも「いい建築」ではない

受賞した建築が必ずしも「いい建築」ではない

Posted July. 23, 2016 06:56,   

Updated July. 23, 2016 07:29

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著者は序文に、「一つの建物は構造や外皮、ディテールという3つの物質的要素を持っている。空間プログラムや敷地、材料、建設工法のほか、『結果物の質を高めるための無言の努力』が建築の本質として求められる」と記した。

本も建物と同じだ。品質の高い文章で埋め尽くそうと努力した無形の努力がしみ込んだ文が本の本質なら、「本という建物」の空間プログラムは編集戦略だ。どのような紙を使って、どのように製本するかの悩みは、建物の構造や外皮をどうするかの悩みと似ている。

建築家であり、著述家、教育者としても活動している著者の文は淡泊だ。誇張や独断無しに、自分の経験や識見を混ぜ合わせた構造が、後半に進むほど目立っている。しかし、ページをめくるほど、「もう少し軽い紙を使ったらよかったのに」という残念さが膨らむ。軽く持ち歩くことができるように作ったら、著者の洞察をじっくり考えるのが一際やりやすかったはずだろうに。

「建築はその大半が、全体ではなく部分で経験される。建築家たちの論理は、説明よりは説得を目指しているので、その大半が信頼できない。この本には完ぺきな理論や幅広い探究ではなく、自分の偏った趣向が盛り込まれている。『いい建築』があまりにも少ないので、人為的に良し悪しを分ける必要すら感じていない」。

淡々としていて豪快だ。我々が考える「いい建築」とは何だろうか。受賞経歴の多い有名建築家が設計して、設計コンペで優勝した建物?著者は、「設計コンペは慎重なものより劇的なもの、うまく解決されたものよりは単純で記念碑的なもの、繊細なものより目を虜にするもののほうを好む」と書いた。現実を変えるほどの指摘ではないが、読み心地がすっきりしている。原題は「How Architecture Works」。



손택균기자 ソン・テッキュン記者 sohn@donga.com