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[オピニオン]李禹煥氏の贋作騒動

Posted July. 02, 2016 07:18,   

Updated July. 02, 2016 07:45

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2002年に李禹煥(イ・ウファン)画伯をインタビューしたことがある。無造作な容姿に謙遜な姿、内面の強い芸術家精神に深く感銘を受けた。「1万冊の本、1万種類の考え、一千里を歩いてこそ、筆を手に持つべきだ」、「画家も知識人だ。適当に大衆の口に合わせるのは犯罪だ」。一時、文学徒を夢見ていた氏の話し方は、哲学的で詩的だった。2年前に、駐韓フランス大使の官邸を訪れた時、「李禹煥のベルサイユ宮殿」の図録を見せながら、興奮していた大使の表情が生々しい。

◆氏の1970年代の複数の贋作が、画廊街に出回っているという噂は昨年からあった。多くの美術界の関係者たちは、「実体のない偽造説で作家を殺して、大韓民国は一体何を手にしようとしているのか」という作家の抗弁に同調した。しかし、偽造作家と贋作を流通させたブローカーが逮捕され、国立科学捜査研究院などの鑑定結果によって、押収した作品13点が贋作判定を受けた。

◆なのに作家だけが、「贋作ではない」と主張している。一昨日の記者会見では、「私は作家だ。私を信じるべきだ」とだけ繰り返したことを超え、「警察が落とし穴を作っておいた。科研の分析は何を言っているのかわからない。法よりは作家の鑑定が優先だ」という言葉まで口にした。根拠のない強引さは説得力がないような気がした。何よりも共同体のいかなる構成員も、法の上には存在しえない。芸術家も同じだ。

◆とある美術界の関係者は、「署名も販売記録もない複数の作品が、大手画廊で1点あたりに数十億ウォンで取引される不透明な韓国美術市場は、贋作が出てこざるを得ない構造といえる」と言い、「警察が作家の芸術性を踏みにじるのではなく、偽物の被害を無くそうとしているのに、なぜ、李画伯は自分を攻撃するというふうに本質をぼかそうとしているのかわからない」と話した。美術界の一部からは、「偽物の絵画が流通されていることを認めれば、作品の価格が落ちるので、画廊はもとより、画家たちもなかなか認めようとしない」という声が出ている。「彼を育ててくれた韓国市場への負債意識があるのなら、『責任がない』と大声を上げるのではなく、捜査に積極的に協力するのが道理だ」というアドバイスもある。李画伯は14年前に記者に対して、「真なる画家は大衆を騙してはならない」と話した。その言葉を彼に返したい。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com