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[オピニオン]アイスランドの魔法サッカー

[オピニオン]アイスランドの魔法サッカー

Posted June. 30, 2016 08:27,   

Updated June. 30, 2016 09:10

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北極圏の真下に位置する島国アイスランドは英国と3度にわたって「タラ戦争」を繰り広げた。領海と魚の漁獲権を取り巻く海上紛争だが、その中で英国の漁師とアイスランドの海洋警備隊のエンジニア1人が犠牲になった。いずれにしても、この国の国民は「英国海軍の侵略を撃退した唯一の国」というプライドを持っている。

◆火山と氷河が共存するアイスランドは、「火と氷の土地」と呼ばれる。夏は白夜が、冬にはオーロラが有名な人口33万の小国が、今度も英国に敗北を舐めさせた。28日、フランスのニースで行われたサッカーの2016ユーロ(欧州選手権)の決勝トーナメント1回戦でサッカーの本家に2-1で逆転勝利を挙げた。欧州ではサッカーの「最果ての地」が、世界最高峰プレミアリーグの選手たちで作るイングランド代表を撃沈したのだ。気候問題で年中3ヵ月しかサッカーができなく、プロチームがないため、全員が海外組で構成されたアイスランド代表メンバーの年俸総額は993億ウォン。イングランド代表(9750億ウォン)の10%に当たる。今回の勝利が「世界サッカーの10大異変」と言われる所以だ。

◆首都レイキャビクの中心地に集まった人々は、ベスト8入りに熱狂した。新しく大統領に当選したグズニ・ヨハンネソン氏はこう話した。「おそらく、タラ戦争を除いてはアイスランドの歴史の中で最も偉大な勝利だ」。英国は大きな失意に襲われた。BBCのMCは、「過去最悪の屈辱的な敗北だ。サッカー選手の数より火山の数が多いアイスランドに…」と嘆いた。

◆アイスランドサッカーのマジックは、チームワークと精神力があったから可能だった。その中心に、アイスランド出身の監督ともに初のユーロ本大会とベスト8進出の快挙をもたらしたスウェーデン人のラルス・ラーゲルベック監督がいる。予選全勝でユーロ初優勝まで目指していたイングランドの不振は選手よりも試合直後に辞任したロイ・ホジソン氏に矛先が向けられた。選手たちが最大の能力を発揮できるようにするのが指揮官の役割だが、監督が自分の哲学と戦術だけにこだわって屈辱を招いたというものだ。「ブレグジット」でで揺らいでいる英国だが、政治もスポーツもリーダーシップ不在が足を引っ張っているようだ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com