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[オピニオン]パナマ運河

Posted June. 28, 2016 07:27,   

Updated June. 28, 2016 07:33

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太平洋と大西洋をとつなぐ82キロの近道について初めて着目した人は、メキシコを征服したスペイン人のエルナン・コルテスだった。1529年、スペインの初代国王であり、神聖ローマ帝国皇帝だったカール5世に建議した。「プルス・ウルトラ(Plus Ultra=もっと先へ)」が座右の銘だったカール5世は真剣に検討したが、実践には移せなかった。ハプスブルク家の最盛期を切り開いた彼は、オスマン帝国、フランスとの戦争など別の懸案が多かった。さらに、あの時代は運河建築技術も、あのような大規模な工事を手掛けるには、大変乏しいものであった。

◆1880年、フランスは、スエズ運河を開通した技術陣を打ち出して、意気揚々と挑戦したが、技術的難関にマラリアまで重なり、約2万2000人の犠牲者を出して、9年後に放棄した。北米と南米とをつなぐ新しい水路を作るのに成功したのはほかならぬ米国だった。1914年8月15日、10年間に渡る大努力の末、太平洋と大西洋とをつなぐ歴史的水路が開かれた。ニューヨークからサンフランシスコまで、南米の南端を回って2万2500キロを進まなければならなかった海路が、9500キロへと縮んだ。

◆「パナマックス(Panamax)」。パナマ運河の開通でこの運河を通過できる新しい基準ができた。幅32メートル、長さ295メートルの船舶だ。これより大きければ運河を通過できないので、造船所で作る時から、この規格を念頭に置かなければならなかった。26日、パナマ運河が拡張、開通したことで、幅49メートル、長さ366メートルまでの船舶が通行できるようになる。「ポストパナマックス」級船舶の需要が今後増えることになれば、構造調整の寒波に見舞われている国内造船業界にとっては、うれしいニュースといえる。

◆一方、海運業界は、パナマの新しい航路はブレグジットに次ぐ悪材料だという憂鬱な予測を出している。大型船舶の通行によって運賃が下がり、挙句の果てに、取扱量確保競争に火がつくことになれば、運賃がさらに下がる悪循環は避けられないという。国際格付け会社であるムーディーズは、世界海運業の格付け予測を「安定的」から「否定的」に格下げした。ひん死状態の海運業界だけでなく、韓国国内企業各社も、二つの大洋を繋ぐ発想のコペルニクス的転換で、生き残る道を模索しなければならない時期に来ている。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com