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[オピニオン]大馬獄に入らず

Posted May. 28, 2016 07:43,   

Updated May. 28, 2016 07:55

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2014年9月25日、崔炅煥(チェ・ギョンファン)経済副首相が政府世宗(セジョン)庁舎の記者室に突然現れた。「ただ、来てみただけだ」という言葉とは裏腹に、「絶対話したいことがあるから、質問してくれいないか」という表情だった。ナッツをつまみ食いしていた副首相は、「企業家恩赦を巡る議論についてどう思うか」という質問に、姿勢を正した。「企業家だからといって、過度に厳しく法を執行すれば、経済に役立たない」。政治的損失を甘受しなければならない発言だったが、それほど、企業家を刑務所に長く閉じ込めておくわけにはいかないという政府内の空気が強かった。

◆韓国租税財政研究院が2000年から2007年にかけて、有罪が確定した企業家の量刑について分析した結果、財閥トップやその家族、財閥役員が裁判で執行猶予を受ける可能性は、一般人より10%高かった。この傾向を反映したのが「3・5法則だ」。有罪が言い渡された大企業一家の量刑は、普通、懲役3年、執行猶予5年という意味だ。

◆米国もあまり違わないようだ。米司法省や証券取引委員会(SEC)などが2009年以降、大手銀行10行を対象に起こした156件の訴訟の分析結果、実際起訴された人は47人であり、このうち役員はただ1人だったと、昨日付の米紙ウォールストリートジャーナルが報じた。グローバル金融危機の引き金となった米投資銀行だったのに、実際、服役する人は珍しく、あると言っても役員はよく抜け出すという意味だ。さすが、大手銀行は法の隙についてよく知っているだけでなく、尻尾切りで責任を免れることに長けていることが裏付けられたことになる。

◆米国では、「Too big to fail(大きい過ぎてつぶせない)」という言葉が、最近は、「Too big to jail(大物過ぎて裁けない)」という言葉と共に、巨大資本の問題点を皮肉る言葉としてよく引用されている。前者は「大馬不死(大石死せずの意)」、後者は「大馬不獄」と言えそうだ。わが国にも大馬不死や大馬不獄の慣行のため、企業家らの不正が後を絶たず、構造調整がなかなかうまく進んでいないという見方もある。造船業の不健全化を招いた大宇(テウ)造船海洋の元社長や難破船から一番先に飛び降りた韓進(ハンジン)海運の前会長、不健全さに目をつぶった債権団の過ちに目をつぶるなら、法治を立て直すことなどできない。

洪守鏞(ホン・スヨン)論説委員 legman@donga.com