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[オピニオン]イランの韓流

Posted April. 30, 2016 07:19,   

Updated April. 30, 2016 07:27

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5年前、イランに出張に行った時、大気汚染で悪名高いテヘランの殺人的な大気汚染を全身で感じた。貿易制裁による慢性的な部品不足のため、廃車場に行くべき中古自動車が道路を走っていた。博物館や現代美術館には、ペルシャの偉大な遺物がみすぼらしいガラスのショーケースの中に詰め込まれていた。

◆そのイランが最近、世界経済の新しい成長動力として注目されている。8000万の人口、天然ガス埋蔵量世界2位の資源富国という点で、欧米の経済制裁解除後、新興市場に浮上している。日中韓も先を争ってイラン市場の獲得競争に乗り出した。朴槿恵(パク・クンへ)大統領は、経済使節団を率いて訪問する。今年1月、中国の習近平主席は国際社会に復帰したイランを公式訪問した最初の首脳だった。安倍晋三首相も下半期に訪問する予定だ。

◆2009年8月にイランを訪れた俳優の宋一国(ソン・イルグク)氏は現地で、「朱蒙(ジュモン)」の爆発的人気を確認した。「伝説の王子」という名前で紹介された「朱蒙」の視聴率は85%で、宋氏を一目見るために首都から1500キロも離れた地方から上京した人もいた。同年、イランのあるブロガーは、「韓国ドラマ朱蒙は、イランの団らん風景を変えた」と書き込んだ。夕食後、仲むつまじく話をする風景が消え、家族皆がテレビにくぎづけになるということだ。史劇で火がついた韓流は、家電市場での韓国の独走につながった。中産層の主婦がLGや三星(サムソン)の冷蔵庫やテレビを購入して自慢するために客を呼ぶことが一時流行し、ソニーの製品を買い替えることができなかった家は、恥ずかしくて布で覆うという話もあった。

◆アジアで発生し、アジアで根を下ろしたイスラム文化は、家族中心の共同体精神や目上の人に対する絶対的尊敬、7才になると男女を分離する厳格な倫理など、韓国文化と似ている点が少なくない。「朱蒙」、「大長今(テジャングム)」のようなドラマが爆発的な人気を呼んだのもこのためだ。古代ペルシャ口伝叙事詩「クシュナメ」には、韓国の「三国遺事」中の處容(チョヨン)が登場するという分析もある。

高美錫(コ・ミソク)論説委員