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世俗の愛を芸術に

Posted April. 11, 2019 08:46,   

Updated April. 11, 2019 08:46

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男女の愛は世俗的だが共感を引き出しやすいテーマだ。19世紀の英国の画家、アーサー・ヒューズは、世俗的な愛の一場面でもロマンチックな芸術に昇華させる芸術家だった。16歳の時にロイヤル・アカデミー展に作品が展示されるほど優れた才能の持ち主だったヒューズは、繊細な自然描写と人物の感情表現に優れていた。

ヒューズの代表作「四月の恋」は、アルフレッド・テニスンの詩「粉屋の娘」からインスピレーションを受けて描かれた。絵は、蔦がしげる夏の別荘のようなところで、若い男女が愛の危機を迎えた瞬間を描いている。青いドレスに長いスカーフを身に着けた女性は胸が痛むのか右手を胸にあてている。唇は震えているように見え、目には涙があふれ出そうだ。よく見えないが、彼女の左手の側には頭を下げて苦しむ男の頭が隠れている。窓の外にはライラックが咲いていて、女の視線が向かう地面には薄紫色のバラの花びらが落ちている。ここで蔦は永遠の人生を、バラは愛を象徴する。地面に落ちた花びらは愛の終末を、ライラックは初恋と若き日の思い出を意味する。このようにヒューズは、様々な象徴的な要素を通じて、若い頃の気まぐれな恋のはかなさを表現している。絵の中のモデルは、画家の初恋であり唯一の恋人だった彼の妻だ。

この絵が1856年にロイヤル・アカデミー展に初めて展示された時、最も熱狂して賛辞を送ったのは英国の著名な美術批評家、ジョン・ラスキンだった。絵を手に入れたかった彼は、裕福な父親に購入を勧めたが説得に失敗した。絵を買ったのは驚くことに当時22歳のオックスフォード大学生、バン・ジョーンズだった。

実のところジョーンズは同じ大学の友人に頼まれて代わりに絵を買ったのだった。彼が支払った小切手にはウィリアム・モリスの署名が記されていた。モダンデザインの父と賞賛されるモリスが青春時代に魅了された作品が、まさに同年の画家ヒューズが愛をテーマに描いた絵だったのだ。