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チンパンジー社会の政治学、米大統領選にも通用

チンパンジー社会の政治学、米大統領選にも通用

Posted March. 22, 2019 08:32,   

Updated March. 22, 2019 08:32

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チンパンジーのボスの雄が挑戦者に敗北した時、ボスは地面に転がって悲しく悲鳴をあげ、群れに慰められるのを待つ。まるで幼児期に母親の懐から押し出された時と似た行動だ。いら立ちながら母の反応を監視する子どものように、ボスも群れを注目する。集まる群れが多ければ、自分の力がまだ死んでいないということだ。これに勇気を得て、再びライバルとの対決する。

一方、誰も近づかないなら、ボスの座を失う。この場合、前任ボスの末路は惨めだ。すべての戦いの末、ボスの座から押し出された雄のチンパンジーは、座って遠くを見つめる。周囲の活動を全く気にせず、表情はむなしい。数週間、何も食べないこともある。

世界的な霊長類学者、米エモリー大学のフランス・ドゥ・ヴァール教授は今月12日、英紙ガーディアンへの寄稿文で、「米国政治の1番地、ワシントンが霊長類化した」と指摘した。米政界を皮肉る言葉でもあるが、チンパンジーの群れの政治がそれだけ人間社会と似ているという意味のようだ。ドゥ・ヴァール氏は1982年に『チンパンジーの政治学』という本を出版し、チンパンジー社会にも権力闘争があることを初めて紹介した。

ドゥ・ヴァール氏によると、チンパンジーは変わった方法でボスを選ぶ。チンパンジーは、一対一の対決の他にも、人間の政治のように複雑な同盟と離反を通じてボスを倒したりもする。10年以上、オランダのアーネム動物園の「イエルーン」、「ラウト」、「ニッキー」という3頭の雄のチンパンジーを観察した結果だ。ドゥ・ヴァール氏が初めて群れに接した時、高齢のイエルーンがボスだった。しばらくして若いラウトがイエルーンを倒してボスになった。するとイエルーンは幼いニッキーと協力してラウトに勝った。政治の新進を使って復帰に成功したのだ。

ニッキーを群れのボスにして、イエルーンは背後で雌と交尾を楽しんだ。ニッキーは大人になった後、ラウトとイエルーンが戦うよう誘導して権力を維持し、雌も独占した。他のボス候補の戦いを通じて、裏で利益を得たのだ。しかし、最後にはイエルーンと戦って大けがを負ったニッキーに代わってラウトがボスになった。ドゥ・ヴァール氏はこれを見て、「政治学のルーツは人類の歴史よりも古い」と強調した。

霊長類は棲息地の物理的位置を政治手段に利用する。ボスが木の切り株に上がって、高い王座から群れを見下ろしたり、群れの中心に木から降りるのが代表的だ。位置を利用して群れを掌握するやり方は、人間の政治にも通じる。2013年、オランダのフローニンゲン大学のヘルト・スティルフ教授(行動社会学科)の研究チームは、歴代の米大統領候補の身長と得票数の相関関係を比較したところ、背が高い候補が多少、票を多く獲得するという研究結果を国際学術誌『リーダーシップ・クオータリー(The Leadership Quarterly)』に発表した。

霊長類の政治手段を最もよく利用する政治家はトランプ米大統領だ。ドゥ・ヴァール氏によると、トランプ氏は米共和党の予備選の過程で、まるで雄のチンパンジーのうなり声のように低い声でライバル候補をニックネームで呼んで見下した。このような雄戦略は、ライバル候補だった民主党のヒラリー・クリントン氏には通じなかったが、有権者を引きつけるには十分だった。メディアの多くがトランプ氏の敗北と見たテレビ討論会で、トランプ氏はクリントン氏の背後に迫ったり、椅子を強く握りしめる姿を見せた。中継を見ていた視聴者が、ツイッターでクリントン氏に「後ろを見て」と警告するほどだった。英国の政治家、ナイジェル・ファラージ氏は、トランプ氏を「まるで胸を打つ老いた雄ゴリラのようだった」と述べた。ドゥ・ヴァール氏は、「トランプ氏が雄のチンパンジーだったなら、椅子を投げて力を誇示する瞬間だった」と語った。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com