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米朝「外交の死」

Posted March. 15, 2019 07:54,   

Updated March. 15, 2019 07:54

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「段階的な非核化は受け入れない。完全な解決法が必要だ。すべてが合意するまでは、合意されたものはない。北朝鮮は核・ミサイルだけでなく生物化学兵器を含むすべての大量破壊兵器の除去を約束しなければならない」

3日前、米国務省のビーガン北朝鮮政策特別代表のワシントン座談会での発言に対して、米メディアや専門家たちは、北朝鮮政策の「明らかなコース変更」と指摘した。超強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の発言権が強まり、1月末のスタンフォード大学での講演で、「同時的並行アプローチ」を提示した交渉派のビーガン氏まで、これまでの柔軟姿勢から強硬路線に急変したということだ。

このような変化は、ビーガン氏だけではなく、ポンペオ米国務長官も加勢した。ポンペオジ氏は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から少なくとも6回、非核化の約束を聞いたとし、「言うことは簡単だ。行動だけが価値がある」と迫った。ビーガン氏の言葉通り、「米政府の立場の完全な統一」を誇示している。

このような強硬基調をめぐって、一部メディアは、「もう交渉はけりがついた」と指摘した。保守寄りの専門家たちも、「マキシマリズム(maximalism)は外交の死だ」、「金正恩氏への完全な降参要求だ」と述べた。彼らの言葉通り、交渉が終末を告げたと診断するのは早いが、米朝対話の膠着状態は当分の間、続くほかなさそうだ。

実際、ビーガン氏の2度の発言を見ると、ハノイ会談の前後で大きく変わったわけではない。強調するところが異なるだけだ。ビーガン氏が提示した「同時的並行アプローチ」が北朝鮮がこだわる「段階的同時行動」と同じではなかった。ビーガン氏は、制裁緩和の可能性を示唆しながらも、「失敗も選択であり得る」と述べた。しかし、柔軟なアプローチが消えたことは明らかだった。

ワシントン座談会で、ビーガン氏は表現の自由まで失ったようだ。まるで気が向かない反省文を読むようだった。ある座談会参加者は、「北朝鮮式自己批判を見ている感じだった」と伝えた。このように米国の交渉派は、ハノイ米朝首脳会談決裂の最初の犠牲者になり、彼らの立場は狭くなった。北朝鮮の対米交渉ラインが生き残れるか疑問だ。

さらに大きな問題は、それだけ「外交空間」が狭まり、消滅しつつあるということだ。米国の強硬論の台頭は、自閉モードに入った北朝鮮の態度と無関係ではないだろう。北朝鮮は、虚空の人工衛星に向かって無言のメッセージだけを送っている。ビーガン氏まで北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)ミサイル発射場の復旧の動きについて、「分からない」と吐露した。北朝鮮の怪しい動きは、米国の警戒心を強め、強硬派の声に力を与えている。

振り返れば、昨年3月にトランプ米大統領が米朝首脳会談を受け入れて始まった米朝対話の1年は決して順調ではなかった。シンガポールでの1回目の米朝首脳会談は中止事態を経て、辛うじて実現した。その後も両国が一度、高官級訪問を取り消すなど紆余曲折が多かった。ようやくハノイまでつなげたが、両首脳が激高して別れたのでないことは幸いだ。

今、米朝は対話のチャネルが断絶し、かみ合わない信号だけ発信している。今のところいずれも発言は慎重だが、このままではどちらかから外交の死を知らせる訃告状を送ることになるかも知れない。特に北朝鮮には考える時間がもう少し必要かもしれない。しかし、外交の扉を閉ざすのでないなら、誤解と不信を生む行動は禁物だ。いかなる関係であれ近づくのには時間がかかるが、遠ざかるのは一瞬のことだ


イ・チョルヒ記者 klimt@donga.com