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テセウスの最期

Posted February. 12, 2019 08:05,   

Updated February. 12, 2019 08:05

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プルタルク英雄伝の第一編の主人公はテセウスだ。ギリシャ神話の代表的な英雄といえば、ヘラクレス、メデューサの首を切ったペルセウス、そしてクレタのミノタウロスを殺したテセウスが挙げられる。

この3人の英雄は、それぞれ都市戦術の主人公でもある。ヘラクレスは、スパルタ王朝の創始者と見なされた。ペルセウスは、ミケネの創始者だとされ、エジプト出身という話もあるが、スパルタの宿敵であるアルゴス王の息子だったという。アルゴス人は、ペルセウスを自分たちの先祖と称えた。ペルシャ戦争の時、アルゴスはペルシャの側についたが、自分たちの先祖がペルセウスであるという理由を挙げて、ペルシャと血縁関係だと主張した。

テセウスは、英雄神話ではヘラクレスやペルセウスに比べて知名度が落ちる。しかし、現実的には最も重要な英雄だ。彼の都市はアテネだった。彼が登場する前のアテネ社会は、非常に緩い政治組織が支配していた。ペルセウスは、周辺地域を回って、より強力な統合権力が必要だと説得する。

説得の大義名分は2つ。法を守ることと戦争で国を防衛することだ。社会が分化し、弱肉強食の時代が始まれば、貧富格差、地域衝突が発生する。これを力だけで押さえ込むことはできない。しかし、力がなければ法は守られないものだ。地域衝突を調整するには、さらに上位の権力が必要だ。戦争は言うまでもない。強い敵に対抗するには地域連合が必要であり、そのために上位の権力が必要だ。

テセウスの話は国家と権力がどのように作られるかを明確に示す。人々が権力を容認し、支配に服従するのは、単に強圧と武力のためだけではない。秩序の維持と生命と財産の保護ということが、すべての人にそれだけ重要で共通の価値だからだ。

テセウスも、他の英雄のように悲劇的な最期を迎える。その理由も誰よりも教訓的だ。得た権力と戦争を私的に使ったためだ。賢者プルタルクがテセウスを書いた本当の意図は、このような教訓を長く肝に銘じなければならないということではないだろうか。



李恩澤 nabi@donga.com