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郵便局―病院―地下鉄…夜間労働者の危機に瀕した声

郵便局―病院―地下鉄…夜間労働者の危機に瀕した声

Posted January. 19, 2019 09:12,   

Updated January. 19, 2019 09:12

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郵政実務員であるイ・ジュンウォン氏は、9時に出勤して6時に退社する。しかし、昼と夜が逆の午後9時がイ氏の出勤時間だ。12時間イ氏は休まず、コンベアベルトに乗って降りてくる郵便局の宅配ボックスを貨物運搬台に乗せる。機械速度が速すぎるので、わき見どころか姿勢を変える暇すらない。イ氏が働くソウル広津区(クァンジング)にある東ソウル郵便集中局は、全国で最も多い郵便取扱量が集中するところ。イ氏含めて、夜間に働く郵政実務員のほとんどは非正規職だ。イ氏は、「夜間労働は2級発がん性物質と言われているが、本当にそうだ」とし、「砂漠で言えば、ここはゴビ砂漠ではなくサハラ砂漠だ」と自分の職場を例える。

この本は、周辺でよく目にするが、注意深く見なかっ夜間労働者の日常を記録したインタビュー集だ。郵便集中局、大学、病院、空港、地下鉄、刑務所、給食所など、韓国社会において欠かせない利便性と安全性を生み出す職場の夜の時間が舞台となっている。

月光と一緒にする彼らの中には、「非正規職労働者」「下請け労働者」の割合が圧倒的に高い。不規則な労働時間と劣悪な労働条件が、とりわけ夜間労働に集中する理由でもある。航空機の清掃労働者を見てみよう。彼らは一日平均20機以上の飛行機に乗って、1000個以上のトイレを掃除するという。しかし、消毒剤の安全教育はもちろん、安全装置すらきちんと供給していないのが現実。これにより、CH2200という有害化学物質の中毒になって病院で治療を受ける状況に至った。

本に登場する夜の労働者たちは一様に不眠症や心血管疾患、不妊リスクなどの健康悪化問題に苦しんでいる。終電を送った後、地下鉄線路とトンネルのあちこちをチェックする労働者たちは、慢性的な睡眠障害を訴えており、とある地方刑務所で働く矯正職公務員のA氏は、2時間以上かかる刑務所まで必ずバスに乗って通う。睡眠不足のせいで、居眠り運転で事故を起こす懸念が高いからだ。

夜間労働者の生活と彼らの声を生々しく聞かせてくれるこの本が、「危険の外注化」「休憩のない労働」など、韓国社会の多くの難題を解決する糸口になるのではないだろうか。


柳原模 onemore@donga.com