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溶けて消える危機の「スウェイツ氷河」の精密探査に出る

溶けて消える危機の「スウェイツ氷河」の精密探査に出る

Posted January. 18, 2019 10:04,   

Updated January. 18, 2019 10:04

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急激な気候変動のせいで、南極大陸の氷河が溶け出す速度もますます速くなっている。米カリフォルニア大学アーバイン校、オランダ・ユトレヒト大学の共同研究チームが衛星で観測した結果、南極の氷床(大陸氷河)が年間2520億トンずつ消えていることが分かった。40年前(年間400億トン)より6倍以上も速い速度である。このような内容は14日(現地時間)、国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された。

氷がすべて海上に浮かんでいる北極と違って、南極の大陸氷河は海に流れ込むと、そのまま海面上昇につながる。数十年以内に海面が5メートル以上も高くなりかねないという懸念が現実になっている。科学者たちは急いで南極に向かっている。

米国と英国、韓国が主導する「国際スウェイツ氷河協力団(ITGC)」は、2021年まで南極の中でも、氷河が最も速い速度で溶けている西南極海岸の「スウェイツ氷河」の精密探査に乗り出す。南極氷河がすべて溶けるまでの残り時間を調べるためだ。ITGCのプロジェクトは最近、科学ジャーナル「ネイチャー」から「2019年に注目すべき科学研究」の中で最初に選ばれた。

米国と英国は昨年10月に最初の探査に乗り出し、韓国は今年末から合流する。極地研究所の研究チームは、砕氷船「アラオン号」とヘリコプター、無人潜水艇などを動員して、スウェイツ氷河と海が接する縁を集中観測する計画だ。航空レーダーで氷の下の地形と地質学的特性を把握し、氷の上に地震計と衛星測位システム(GPS)センサーを設置し、氷河と周辺の海水の動きも分析する。

スウェイツ氷河のある西南極地域が気候変動に脆弱な理由は、地帯が海面より500メートル以上低く、暖かい水に氷河がそのまま露出されるからだ。陸地を2500メートルの厚さの氷河が覆っているが、海面と接している下の部分が溶けることで、海水が氷河の下により深く浸透している。これにより、縁はそのほとんどが大陸氷河と繋がった状態で海に浮かぶ氷棚の形となっている。

ITGCの韓国研究チームを率いている極地研究海面変動予測事業団(極地研)のイ・ウォンサン団長は、「氷棚は内陸の大きな氷床が海に流れ込むことを防ぐ」とし、「完全に崩れると、コルク栓が『ポン』と開けられるように、南極氷河は手に負えないスピードで溶けるだろう」と説明した。今世紀中に消える危機に瀕している南極氷河がすべて溶ければ、全世界の海面は現在より5.28メートル上昇する。韓半島面積の64倍に達する南極氷河全体がすべて溶ければ、全世界の海面は57.2メートル上昇すると試算される。標高が38メートルであるソウルは完全に浸かるレベルだ。

このように、南極研究の重要性が台頭したことで、南極研究を拡大する大型砕氷研究船を新たに導入する国も増えている。中国は今年1.5メートルの砕氷が可能な1万3990トン級の砕氷研究船「シュロン2」を就航し、豪州は来年1.65メートルの砕氷が可能な2万5500トン級の南極専用砕氷研究船「Nuyina」を導入する。英国とドイツもそれぞれ2020年と2023年に新規砕氷研究船を就航する予定だ。韓国も1メートルの砕氷機能を備えた7500トン級のアラオン号を補完する第2の砕氷研究船の建造事業を推進したが、昨年5月、最終的に予備妥当性調査(予妥)を通らなかった。

イ団長は、「1カ所に少なくとも2、3ヶ月間は滞在しながら研究しなければならないが、現在は、アラオン号が南・北極研究の両方を遂行しており、最大で40日が限界だ」と語った。ソ・ウォンサン極地研第2砕氷研究船建造事業団長は「国際協力が不可欠な極地研究と科学外交のためにも、他の国と同じレベルの砕氷研究船が必要だ」とし、「再び予妥を申請する計画だ」と明らかにした。一方、南極張保皐(チャン・ボゴ)科学基地から南極点まで3000キロに及ぶ安全陸上路を開拓する極地研Kルート事業団は、昨年まで目標距離(700キロ)を超えて720キロを達成した。今年は400キロを追加開拓して、2024年前に南極点に到達するという目標だ。


ソン・ギョンウン記者 kyungeun@donga.com