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「荒さが魅力」…起亜自のテルライド、米国人の心を取り込むか

「荒さが魅力」…起亜自のテルライド、米国人の心を取り込むか

Posted January. 15, 2019 07:54,   

Updated January. 15, 2019 07:54

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8日(現地時間)、米カリフォルニア州南部オレンジ郡のアーバインにある起亜(キア)自動車の米販売法人KMAと起亜自動車の米デザインセンター。中に入ると、デザインセンターの前に黒いベールに包まれている一台の車が見えた。高さが大人の身長に近いことから、大型スポーツ用多目的車(SUV)であることを直感した。

ベールが剥がされると、車が姿を現した。黒色に角張ったシルエット、堂々とした大きさ。起亜自動車が今年、米国で発売する新しい大型SUV「テルライド」だった。テルライドは最近、米ファッションイベントなどに登場して、一部には先に公開された。しかし、韓国にはまだ実際の車の姿は公開されていない。韓国メディアがテルライドを実際に見たのはこの日が初めてだった。

最近発売されているSUVは、セダンに似た洗練されたデザインを好む。曲線型デザインのクーペ型SUVが人気を集めるのもそのためだ。しかし、テルライドは、このようなトレンドに正面から対抗するようだった。まるで1980年代の「クラシックカー」にみられるような粗悪で荒いデザインだった。迷彩色で塗装すれば、軍用車としても使えるほどだった。起亜自動車のカット・カール・シニアデザインマネージャーは、「デザインの初期から米国的郷愁を呼び起こす要素を狙った」とし、「大きくて大胆で角張ったSUVを作りたかった」と付け加えた。

実際、起亜自動車はテルライドを設計する過程で、米オールドカーのデザインを参考にした。これは、米国で販売台数を引き上げるための起亜自動車の戦略である。

起亜自動車は最近、米国で危機と機会に同時に見舞われている。危機は「販売台数の停滞」だ。起亜自動車は、グローバル金融危機のあった2008年を除いて、2002年から2016年まで毎年着実に販売台数を伸ばしてきた。しかし、2016年に64万7598台でピークに、2017年は58万9668台、昨年は58万9673台と、小幅に落ちた。さらに円安に後押しされた日本車の攻勢や輸入車に対する関税賦課の動きは危機を加速させている。

一方、チャンスもある。起亜自動車はセダンよりSUVに強みがある。米市場は、SUVが大勢となってきている。1990年までは、セダンの需要が70%、SUVの需要は30%台だったが、2010年を基点に状況が一変した。昨年はSUVの需要が70%に達した。

特に、各ブランドの代表車種が競合する米大型SUV市場は混戦を繰り広げている。115年の歴史を持つ米フォードのエクスプローラーが年間販売台数26万台で首位を走る中、シボレー・トラバースとトヨタのハイランダーが競合している。起亜自動車の尹勝奎(ユン・スンギュ)北米圏域本部長専務は、「今年の米自動車需要は1680万台と予想されるが、そのうち162万台が、テルライドが属する大型SUV市場だ」と語った。

起亜自動車は、テルライドで米大型SUV市場に食い込んで、「SUV強者」のイメージを構築するという計算だ。起亜自動車はすでに米現地の潜在顧客を招待して、事前ブリーフィングも開いた。ここで、顧客らは、競合車種に比べてテルライドに圧倒的な好評を与えたことが分かった。起亜自動車の関係者は、「特に41歳以下の若年層の反応が良かった」と自信を示した。起亜自動車は14日(現地時間)開幕する米デトロイトモーターショーで、テルライドを正式に公開する予定だ。米国での発売は今年上半期(1〜6月)、韓国で発売するかどうかはまだ決まっていない。


李恩澤 nabi@donga.com