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幸せなオオカミ

Posted November. 19, 2018 08:45,   

Updated November. 19, 2018 08:45

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「狼にとって幸せとは、ウサギの肉をかむ感覚の楽しい感じとは何の関係もない。幸せとは、不快感と喜びが同時に存在してもおかしくない状態をいう」(―マーク・ローランズの「哲学者とオオカミ」)

この文を書いた哲学科教授のローランズには、秘密の思い出が一つある。ブレーニンと狼と一緒に暮らした記憶だ。オオカミは人間と一緒に暮らせば、生来の本性を維持しながら生存のための手段として犬の姿を学習しなければならないという二重の課題をよく理解している。人間と暮らすということは、偽りで包装された日常を生きていかなければならないという意味だ。犬として生きること自体が狼には偽りだから。ひょっとすれば、人間にとって社会化の過程と文明は、優しい本能から始まって社会的生存能力を育てるための目的で、偽りと策略を身につける時間と過程かもしれない。野生のルールに精通しているオオカミも、社会化の過程は苦痛だろうが、必ず習得しなければならない課題だ。しかし、オオカミが本能的にウサギを追うように、人間も抑制していた本能に基づいて動く時がある。

オオカミがウサギを捕ることは、社会科学を研究する私は今年末までに完成しなければなら複数の論文よりも重要な課題だ。予想していなかった数多くの困難を経験して完成した論文の草稿が、3人の匿名審査員の同意で学術誌に掲載されることを望み、数ヶ月間手がけてきた報告書が、どうか無事に完成されて、基金提供者の気に入ることを願う。しかし、このような願いは成功と失敗という結果に関係なく、私には意味がある。本質的に成功と失敗は結果であり、事後的なものだ。幸せはその前にすでに作られる。

誰もが幸せを望んでいる。人間が最終的に到達しなければならない高い価値だ。幸福は存在であり、生き方だ。上記のフレーズは、人生の中で最も困難な瞬間に、最も重要なものを得ることができるという話を伝える。最も困難な時間だけが最も価値ある瞬間と言える。そして厳しい時間は、将来のあなたを待っている。幸せな時間もあなたを待っている。