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「21世紀末はヴェネツィアの97%が水に浸るかも」 欧米の研究者が予測

「21世紀末はヴェネツィアの97%が水に浸るかも」 欧米の研究者が予測

Posted October. 17, 2018 09:32,   

Updated October. 17, 2018 09:32

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都市全体が文化財と言われるイタリアのヴェネツィア、傾いた塔で有名なピサなどの遺跡が近いうちに見られなくなるかもしれない。地中海沿岸のユネスコ世界文化遺産49件のほとんどが、21世紀末まで洪水と海岸侵食によって大きく損傷するだろうという予測が出たからだ。ほとんどが有名観光地であるうえ、人類文明の真髄が込められた遺跡地なので、対策をまとめなければならないという声が高い。

ドイツ・キール大学地理学科のレナ・レイモンド研究員と英サセックス大学の共同研究チームが、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」の16日付に発表した研究結果によると、49件の地中海の世界文化遺産のうち47件が、21世紀末に洪水と海岸線浸食によって重大な損傷を受けるだろうと予測された。

最も大きな被害が予想されるところはヴェネツィアだ。気候変動を防ぐために何の対策を取らなければ、大洪水により多く、より頻繁に見舞われて、都市面積の97%が洪水被害を受けることになり、この時都市は最大2.5メートルまで水に浸れることが予想された。さらに海岸線の浸食による被害も加わると予想される。レイモンド研究員は、「海岸線の浸食はすでに始まっているだけに、対策が必要だ」と語った。

ヴェネツィアで最も危険にさらされている世界文化遺産としては、海面が2.2メートル以上上昇すると予測されたイタリア北部の古代都市アクイレイアとクロアチアのドブロブニクなどが挙げられた。これらは全てイタリア半島とバルカン半島の間のアドリア海の北側に密集した都市である。続いて、スペイン南部のジブラルタル、ギリシャのデロス、イタリアのフェラーラとナポリ、イスラエルのテルアビブの遺跡が、大小の洪水被害に苦しむと予測された。レイモンド研究員は、「特にヴェネツィアとドブロブニク、テルアビブなどは大都市であるだけに、より大きな被害を受けると見られる」と指摘した。

その理由は、気候変動による海面上昇が挙げられた。これらの世界文化遺産と海岸線までの平均距離は、2000年は1.1キロだったが、2100年は0.1キロにまで減少すると予測された。さらに大雨など極端な気候現象が今より少なくとも1.3倍から3倍まで、強くて頻繁に発生し、波や洪水による被害が急増すると予測された。

問題は対策だ。ソウル大学環境大学院の洪鍾豪(ホン・ジョンホ)教授は、「文化財を対象とした気候変動の被害対策はまだ議論されたことがない」とし、「今回の研究をきっかけに深刻性に気付くべきだ」と指摘した。レイモンド研究員は、「地球の平均気温の上昇幅を1.5度以下に制限する『パリ条約』を守っても、すでに一部の世界文化遺産の被害を防ぐことはできない」とし、「保全のための財源確保などに積極的取り組まなければならない」と語った。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com