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1991年にも法王を招待した北朝鮮、カトリックブームを恐れて断念

1991年にも法王を招待した北朝鮮、カトリックブームを恐れて断念

Posted October. 11, 2018 08:22,   

Updated October. 11, 2018 08:22

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北朝鮮が体制宣伝などを目的に法王の訪朝を推進したのは今回が初めてではない。2016年夏に韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使(56)よると、北朝鮮は1991年にも法王の訪朝を推進した。太氏は5月に出した【3階書記室の暗号 太永浩の証言】でこの時の状況を詳しく明らかにした。

太氏によると、90年代当時、盧泰愚(ノ・テウ)政権の北方外交で、ソ連、中国が韓国と国交を結ぶと、外交的孤立を憂慮した金日成(キム・イルソン)主席は、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の訪朝を推進した。金主席の指示で、外務省内に法王招待のための常務組(タスクフォース)が構成され、太氏もこれに加わった。

北朝鮮の訪問提案に法王庁は、「北朝鮮に本当のカトリック信者がいるなら、バチカンに連れてきてほしい」と要求し、保安省は韓国戦争前まで信者だった一人のおばあさんを捜し出してバチカンに連れていった。このおばあさんは法王に会って、「一度心に入った神は絶対に離れない」とし、数十年間子どもにも隠してきた信仰を明らかにした。

しかし、逆説的におばあさんの信仰のため、北朝鮮は法王招待のプロジェクトをあきらめた。太氏は、「法王庁の人々は、おばあさんの目を見ただけで本当の信者だと認めた」とし、「このことで、労働党は宗教の恐ろしさを痛感した」と明らかにした。そして、「法王が平壌(ピョンヤン)に実際に来て、北朝鮮にカトリックブームが起きることを恐れ、法王招待のための常務組は約2ヵ月で解散した」と付け加えた。金主席と違って金正日(キム・ジョンイル)総書記が法王の訪朝に否定的だったことも影響を及ぼしたという。当時、金総書記の指示を受けた労働党統一戦線事業部関係者たちは「法王が来れば、天主教信者が増えるだろう。誰が責任を負うのか」と消極的な態度だったと、太氏は伝えた。


韓相準 alwaysj@donga.com