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欧州も悩み続ける「脱原発」、判断を急げば「不正解」になることも

欧州も悩み続ける「脱原発」、判断を急げば「不正解」になることも

Posted August. 20, 2018 08:50,   

Updated August. 20, 2018 08:50

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最近、韓国電力公社が英ムーアサイド原子力発電所プロジェクトの優先交渉者の地位を失ったことを巡り議論が熱い。原発建設プロジェクトを担当している「ニュジェン(NuGen)」コンソーシアムが、現在の韓国政府の脱原発政策の方向性に不安を感じて、手を引いたのではないかという議論である。

脱原発政策の方向性の正否を離れて、今回の事案のコアはそれではない。この事案のキーはニュジェンではなく、英政府が握っている。英政府が原発建設と引き換えに、韓電にいくらを支払うかが重要と言える。

双方は、韓電が原発建設費用を自主的調達する代わりに、電気販売を通じて収益を残す方法で交渉を進めている。英政府が電気の販売価格を過度に低く策定すれば、韓電が損害を甘受してまでこのビジネスに入るはずがない。だからといって多くを保障すると、世論が良くない。2016年も「ヒンクリーポイントC」原発の電気販売価格を市場価格より二倍も高く策定したことで非難世論が起こった。

英政府の悩みが深まる中、韓電との交渉は持ち越され、これ以上待てなくなったニュジェンコンソーシアムが、まず交渉者地位喪失のカードで、韓電と英国を圧迫する形となっている。

英国は1991年、マーガレット・サッチャー政権時代に民営化政策に基づいて国が原発から手を引いて、「電力輸入」の道に進んだ。原発施設と運営権を隣国フランス電力公社(EDF)に売り渡し、電気市場も自由化された。時間が経って、2025年に計15基の原発のうち半分が寿命が尽きることとなり、独自の原発技術がなくなった英国は、原発交換を外国の手に任せることになった。まだ英国の原子力の割合は21%に達している。

英国と裏腹に「原発輸出」の道を選んだフランスも、悩むのは同じである。原発を国が運営するフランスは、原子力依存率が75%に達している。電力輸出で年間30億ユーロ(約3兆8700億ウォン)を稼ぐ原発大国である。

2011年の福島原発事故後、フランス政府は世界の傾向に基づいて、2025年までに原子力の割合を50%に減らすことにした。現政府も同じ公約をした。いざ減らそうとすると、30万件の仕事が消えることになり、高額で電力需給を合わせなければならず、悩みが深い。

英国とフランスの中間の道を選んだドイツは、最も果敢に2022年までに原発閉鎖を決めた。しかし、需給のために火力発電の割合を減らすことができず、環境汚染はさらに深刻になり、フランスから電気を購入してきても電気料金は大幅に上がっている。安定した需給のために安全保障のリスクを冒してまで、ロシアから天然ガスを輸入しようとしている。

原発と関連して欧州三大国が選んだ道は異なったが、その方向性も悩みも同じものになった。原発縮小の方向性は決まったが、安価なエネルギーを放棄しようとしたため、コストがかかる。エネルギー需給は国家安全保障とも直結する。まだムーアサイドプロジェクトで韓電が有利な理由は、西側の敵国である中国に原発を渡すことはできないという英政府の危機感のためだ。原発が創出する雇用喪失も問題だ。

韓国の悩みも欧州3カ国と変わらない。原発縮小の方向性が同じであれば、重要なのは実践である。実益もなく、私たちが先取りした利益を放棄してまで脱原発を打ち出す必要はなく、脱原発ではなく原発を増やすべきだと逆行する必要もない。焦ることなどない。全世界が答えを探しているなら、一緒に探せばいい。早く答えを探そうとして、不正解を書けば、直すのも難しい。


董正民 ditto@donga.com